中公文庫
妻への祈り―島尾敏雄作品集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 459p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122063037
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

特攻隊隊長として赴任した加計呂麻島での出会い、不安と嫉妬で苦しみ心を病んでいく妻、奄美へ移住し重ねていく日々…。純文学の極北と称された島尾敏雄の諸作品から、妻ミホの姿を浮かび上がらせる文庫オリジナル編集。極限状態にありながらも、静かで時にユーモラスな表現の根底には、妻への新鮮な驚きと深い愛情がある。

目次

1 特攻隊長と島の娘(はまべのうた;出孤島記;出発は遂に訪れず)
2 夫婦という桎梏(帰巣者の憂鬱;鉄路に近く)
3 狂うひと(われ深きふちより;重い肩車)
4 島へ(妻への祈り;妻への祈り・補遺;廃址)
5 妻を見つめる(日の移ろい“抄録”)

著者等紹介

島尾敏雄[シマオトシオ]
1917(大正6)年、横浜に生まれる。40(昭和15)年九州帝国大学法文学部経済科に入学、のち文科に再入学。43年私家版『幼年記』を刊行。同年9月末繰り上げ卒業、10月海軍予備学生を志願、特攻隊隊長として加計呂麻基地で敗戦を迎える。61年「死の棘」で芸術選奨、77年『日の移ろい』で谷崎潤一郎賞、78年『死の棘』で読売文学賞・新潮日本文学大賞、85年『魚雷艇学生』で野間文芸賞を受賞。ほか著書多数。1986(昭和61)年没

梯久美子[カケハシクミコ]
ノンフィクション作家。1961年、熊本県に生まれる。北海道大学文学部卒業。編集者を経て文筆業に。『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮文庫)で第三七回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

20
島尾作品を読むと、鬱というか、憂くなってしまう。『死の棘』ほど完成度が高いと読めるが。  ただ、その傑作にしても、本書の編者でもある梯久美子著の『狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮社)によると、相当に妻のミホの影響がある、あるいはミホの意向を忖度しているという。ミホはある意味、島尾の限界を見抜いていて、確信犯的に二人は共同して不倫を契機に泥沼に溺れ込んだ……のだろうか。2017/03/27

今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン

7
島尾作品のアンソロジーです。5つのカテゴリーの括り方、セレクトが絶妙。2017/05/31

fubuki

5
小説なのか記録なのか、分からなくなる。仕事として書くことより、妻・ミホの平穏を維持するために書き続けいていたということか。精神病は一言では言い表せないし、我儘や身勝手とどう違うのか、疑いたくなることは屡々。しかも自分自身が死を考える時もありながら、ミホには生きることを望んで書き続けた。心中するわけではないのだから、それもすごい。時代が違うから比較にはならないけれど、精神病棟の描写が読んでいて辛くなる。その上、どんなに献身的になっても、伝わらないことの虚しさ。島へ帰るという救いがあったとはいえ、虚しい。2018/11/11

駄目男

4
相対的に妻ミホという女性は相当な情熱家と言えばいいのか気性の激しさや、嫉妬深さが顕著で、終戦2日前の13日、島尾に出撃命令が下ると、ミホは島尾から貰った短剣を片手に最後の逢瀬のため浜辺に駆け付ける。 島尾出撃を見と遂げて自らは懐剣で自害を計ろうと。 凄まじい気概を感じるが結局、出撃がないまま終戦。しかし、発病後のミホも恐ろしい。院内で取っ組み合い暴言を吐く。「どこまでもついて行ってやるよ。人を気違いにして置いて、もとにして返せ」ともあれ島尾作品は噂に違わず読み辛く手古摺り遅々として進まなず苦心惨憺した。 2016/12/27

rin

2
★★★★2021/10/12

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