内容説明
昭和三十九年から自決する四十五年にかけ、森鴎外、尾崎紅葉、泉鏡花、谷崎潤一郎、川端康成、内田百〓(けん)、林房雄、円地文子ら、敬愛してやまない作家十五人の詩精神と美意識を解き明かした評論集。著者自ら『太陽と鉄』と共に「私の数少ない批評の仕事の二本の柱」とする書。
目次
森鴎外
尾崎紅葉/泉鏡花
谷崎潤一郎
内田/百〓(けん)/牧野信一/稲垣足穂
川端康成
尾崎一雄/外村繁/上林暁
林房雄
武田麟太郎/島木健作
円地文子
著者等紹介
三島由紀夫[ミシマユキオ]
1925(大正14)年東京に生まれる。学習院高等科を経て東京帝国大学法律学科を卒業。在学中の44(昭和19)年に処女創作集『花ざかりの森』を刊行。戦後47年大蔵省に入り翌年退官、49年に刊行した『仮面の告白』で名声を確立し、以後、文筆活動に専念する。『潮騒』にて新潮社文学賞、『白蟻の巣』にて岸田国士演劇賞、『金閣寺』にて読売文学賞、『絹と明察』にて毎日芸術賞、『サド公爵夫人』にて芸術祭賞などを受賞した。68年、「楯の会」を結成し、70年、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
48
三島が愛する15人の作家の評論でした。美意識で解き明かすからこそ三島らしさが感じられます。知らない作家もいて、自分がいかに日本文学を知らないかを指摘されたような気分になりました。もっと日本文学を読んでいこうと思います。2023/01/28
tonpie
37
三島由紀夫が、川端康成をどう評価していたかを知りたくて読んだ。三島は韜晦が苦手で、文章が口ごもるからすぐホンネが分かってしまう。森鴎外と谷崎への熱のある賛美に比べ、川端への賛美は「口ごもっている」と、私は感じた。以下引用。P95 川端氏の明敏さがどういうものであるか、誰しも一等説明に窮するのはその点だろう。(略)自分自身に対する忠実さなどは、実は何ら(倫理的)至上命令ではなく、仕方なしにそうなっているようなところがあり、氏にとっては正に、己を知ることと自己放棄は同義語なのだ。↓ 2023/07/22
優希
34
再読です。三島の愛する15人の作家を解き明かしています。精神性と美意識を明かしているのが興味深いですね。三島らしい作家論だと思います。2023/12/08
やいっち
32
三島由紀夫が作家論なんて、違和感があった。そもそも、昔は少しは評論の類いも読んだが、今は敬遠気味。三島自身、作家論なんて試みるつもりはなかったらしい。では、なぜ? 本書中の大半は、文学全集の解説として、書き下ろしたとか。三島によると、ここらで、いろんな作家の文業をまともに勉強してみようと。どこまで本音やら。なぜなら、彼が解説したい作家を選んだ訳じゃなく、出版社から依頼された作家について解説している。遣り甲斐がある作家と、仕方ないなという作家との、熱意の差! ただ、案外、真面目に解説しているのが好ましい。
NICKNAME
29
三島由紀夫著書2冊目。自分はあまりにも日本文学を知らなさす過ぎる為、森鴎外、谷崎潤一郎、川端康成の部分だけを結局流し読み・・・ある意味ギブアップです。でも最後の解説は多少参考になりました。これで彼の次の作品が読めます!2021/09/08