中公文庫
倫理としてのナショナリズム―グローバリズムの虚無を超えて

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  • サイズ 文庫判/ページ数 325p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122062092
  • NDC分類 304
  • Cコード C1130

内容説明

グローバリズムが恐るべき意味喪失を招く近未来状況を前に、現代リベラリズムの諸論議をも咀嚼しつつ、本書は規範や倫理について鋭く問い直していく。倫理意識を強く抱いた「自立した個人」はいかにして存在しうるか。この課題に向き合うとき、ナショナリズムの価値が再発見されるのだ。

目次

市場中心主義とその批判
第1章 「自由」と「平等」のゆくえ(中間層は解体したのか;「ポスト工業化」における倫理の変容;アフター・リベラリズムの倫理)
第2章 倫理を問う語法(倫理をめぐるアンビヴァレント;九〇年代グローバリズムの本質;リベラリズムの背後にあるもの)
第3章 グローバル資本主義の文化的矛盾(グローバル市場の「問題」;西欧近代主義の帰結としてのグローバリズム;グローバリズムの文化的次元;グローバリズムとニヒリズム)
第4章 倫理としてのナショナリズム(グローバル経済と国民国家;市場主義というイデオロギー;グローバリズムがもたらす社会の亀裂;シヴィック・ナショナリズムという自覚)

著者等紹介

佐伯啓思[サエキケイシ]
1949(昭和24)年奈良県生まれ。東京大学経済学部卒。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。滋賀大学、京都大学大学院教授などを歴任。雑誌『表現者』顧問。専攻は社会経済学・経済思想史。著書に『隠された思考』(サントリー学芸賞)『「アメリカニズム」の終焉』(東畑記念賞)『現代日本のリベラリズム』(読売論壇賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

双海(ふたみ)

22
入職後も本書のような少し頭をつかうような本を読んでいくことができるのか・・・。時間的にも精神的にも。2015/12/19

masabi

16
今日の世界を規定するものは市場経済・企業・国家であるが、その背後には倫理が隠れている。というのも3つの背景にあるリベラリズムは個人主義で価値中立的であり、そこからは規範や道徳は想定され得ないからだ。3点セットに加えて倫理を指摘したことが本書の意義である。グローバリズムは特定の地域や歴史的文脈を外れて世界に拡散する普遍性とその反作用として集団に刺激を与え対抗勢力としての集団や民族のアイデンティティーを改めて確認する契機にもなる二重性を有している。そして、現在求められるのはシヴィックナショナリズムである。2015/12/31

ドクターK(仮)

2
自由や平等といった近代的価値観を善き形で実現するためには、共同体的意識(そしてその中における承認、是認)に基づいた倫理観が求められるという。倫理と聞くと説教臭いイメージがつきまとうが、本書からそうしたものはほとんど感じられない。理路整然と、穏やかな筆致で、市場、国家、社会共同体という三層からなる現代社会の中で「潜在的な価値の体系」が果たす役割を述べている。後半では市場と国家の関係についても論が展開されるが、国家の介入を排した新自由主義的市場は強力な国家によって作り出されるといった指摘には思わず膝を打った。2016/08/23

マウンテンゴリラ

2
まず著者に関して言えば、私が現在最も信頼できる社会思想家といっても過言ではないだろう。とはいっても、そういう肩書きが妥当かどうか確信が持てないし、著作に関しても数冊読んだ程度で、それらの内容も全て理解し得たわけではない。といった程度の頼りない支持者としてではあるが。本書に関しても同様のことが言え、特に私が最も苦手とする経済理論などの話になると、ほとんど理解が覚束ないという情けない状況に陥ってしまった。にも拘らず、著者の言論に強い説得力を感じてしまうのは、→(2)2016/07/23

スプリント

2
基礎知識が不足しているせいか読了までに時間がかかってしまいました。関連書籍をもう少し読んでからもう一度読んでみようと思います。2016/01/31

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