内容説明
鶴見線、寝台急行「銀河」、三岐鉄道、只見線、岩泉線…。寝台列車やローカル線、路面電車に揺られて、懐かしい場所、過ぎ去ったあの頃へ。日本の近代化とともにあった鉄路の風景に思いを馳せ、含羞を帯びつつ鉄道趣味を語る。昭和の記憶を辿る、大人の旅行記。
目次
1 ローカル列車「レトロ紀行」(安上がりで小さな旅―東京近郊線;寝台急行銀河「昭和」行―東海道線、三岐鉄道、天竜浜名湖鉄道ほか ほか)
2(ポワロのオリエント急行;『華氏451』と「亡命者」たちの村 ほか)
3(ネコと待ちあわせる駅;ああ上野駅 ほか)
4(関東平野ひとめぐり;下関に見る近代日本の全盛期 ほか)
著者等紹介
関川夏央[セキカワナツオ]
1949年新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。『海峡を越えたホームラン』で第七回講談社ノンフィクション賞を、『「坊っちゃん」の時代』(谷口ジローとの共著)で第二回手塚治虫文化賞を、『昭和が明るかった頃』で第一九回講談社エッセイ賞を、2001年「明治以降の日本人と、彼らが生きた時代を捉えた幅広い表現活動」により、第四回司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うっちー
44
宮脇先生にはかなわない紀行文です。昭和57年に寝台特急『富士』東京から西鹿児島を完乗したのは懐かしい思い出です2020/10/21
saga
37
『坊ちゃんの時代』で著者を知る。そして本書で鉄道ファンであることを知り嬉しかった。しかし、鉄道紀行文として宮脇俊三を引き合いに出すことで、宮脇俊三を超えることができない宿命を負ってしまっている。だが、著者の旅した鉄道路線や寝台特急をはじめたとした車両を読むと、鉄旅心を誘われる。「歴史好き」は宮脇氏と共通しているので、読み応えはあった。2018/01/19
さっと
8
『汽車旅放浪記』に続いて読了。2000年代はじめに各誌に発表された鉄道モノを集めて2015年に文庫化、ローカル線や寝台特急といった昭和の路線を愛するオジサンの取材対象になるだけあって、雑誌掲載→文庫化のほんの何年かのうちに廃止、廃線となるものいくつかあって、末尾のその旨のキャプションがまた哀愁を誘う。前作と重なるモチーフやエピソードが多々あって、またか、という箇所がないでもないが、若い鉄子編集者といく小旅行では原武史先生の名前を出されてオジサンが奮起する場面があって笑った。2020/12/13
Eiji Tajima
4
鉄道に乗ることは好きだけど、乗り倒すようなタイプではない。史跡を由来を楽しむがごとくその鉄道の歴史やウンチクを軽く理解しつつ、味わいいながら乗っていたい。そのスタンスがこの作家にはあるようで、なかなか数少ない鉄道好きな作家だと思う。いわゆる「鉄」と呼ばれる人とは一線を画したいようで、確かにそれは分かる気がする。 本文のなかでは旅情を強調していたけど、いまの鉄道に旅情を感じることは少ない。この紀行分のなかには少なくともそれをウンチクとともに感じれて楽しく読めた。2016/09/04
たか。
4
列車の旅もたまには良いかもって一瞬思ったけど、喫煙者の私には無理かな。列車の中でタバコが吸えた時代が懐かしいです。2016/02/19