中公文庫
日本の愛国心―序説的考察

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  • サイズ 文庫判/ページ数 421p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122061309
  • NDC分類 154
  • Cコード C1130

内容説明

日本人の愛国的心情が投錨するところは何処か。著者はこの問いかけを正面に据え、従来の保守派の位置から踏みだしつつ困難な領域へと思索の歩みを始める。西田哲学等に日本精神の系譜を求め辿る行路を記し、「日本」の独自性を見極めようとした記念碑的著作。

目次

序論 なぜ愛国心なのか
第1章 愛国心という難問
第2章 愛国心と愛郷心とナショナリズム
第3章 愛国心と近代国家の論理
第4章 「負い目」をもつ日本の愛国心
第5章 歴史観という問題
第6章 日本の歴史観と愛国心

著者等紹介

佐伯啓思[サエキケイシ]
1949(昭和24)年奈良県生まれ。東京大学経済学部卒。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。滋賀大学、京都大学大学院教授などを歴任。雑誌『表現者』顧問。専攻は社会経済学・経済思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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双海(ふたみ)

23
久方ぶりに面白い本を読んだ、そんな感じです。わくわくした章・節:「江藤淳の批判」・「三島由紀夫と吉田満の『戦後』」・「小林秀雄の戦争」・「京都学派の試み」・「保田與重郎の思想のもつ意味」・・・再読したい本になりました。2015/07/08

isao_key

8
2008年3月NTT出版から刊行されたものを文庫化したもの。あとがきで述べているとおり、「愛国心」をテーマにした本である。いわゆる(西欧発の)ナショナリズム論ではとらえきれない「日本の愛国心」という問題を「日本の精神」という磁場においえ論じている。大東亜戦争、西田哲学を踏まえて日本人にとっての愛国心とは何かを説いた意欲作。西洋的な論理で動く世界で、東洋の論理を持ち込みつつ、「多即一、一即多」という新たな世界史的理念を打ち立てることができるのものは、ただ日本だけだと了解もでてくる、とあるが、その通りだろう。2015/07/21

yo

6
「日本の愛国心」を思想的に考えたもの。大事なことなので最初に断っておくと、著者は所謂右翼も左翼も擁護しない。巷に溢れるポジショントーク本とは一線を画す意欲作だ。郷土愛やナショナリズムとの関係や、愛国心と近代国家との関係、日本に特殊な事情としての「あの戦争」との連結など、幅広く、かつ本来論ずるべき点から目を逸らさずに正面から検討してるあたり、とても誠実な本だと思う。ところどころ疑問に思ったり「これは世代間ギャップだな」と思ったりしたけど、全体としてとても面白い本だと思う。結論を出しきれなかったのが残念だが。2017/09/05

Hepatica nobilis

5
保守の思想家による日本の愛国心。少し解毒してもらった気がする。2015/10/10

ドクターK(仮)

2
幕末から明治期にかけて、日本は近代化、西欧化しなければ西欧列強の餌食となる状況にあった。しかし、日本の西欧化は「とりもなおさず日本のアイデンティティを犠牲にする」(p.317)という矛盾を孕んでいる。この如何ともしがたいジレンマこそ、近代日本の宿命であり、その延長線上に大東亜戦争(太平洋戦争)の敗北があったと著者は言う。先の大戦は悲しい歴史であることに違いないが、実はそこに至る近代日本の歴史そのものに、ある種の悲劇性が存在したのだ。この悲しみを、現代の日本人は引き受けなければならないのだろう。2016/03/27

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