内容説明
“常識はずれ”が命を救う―ペニシリン、心臓カテーテル、ピロリ菌、抗うつ剤、子宮がん検診法、幹細胞、バイアグラ…画期的なブレークスルーは、みんな予期せぬ発見だった!探していなかったものに出くわしたとき、科学者たちが発揮したのは、並はずれた直感力と創造性。失敗を飛躍に、偶然を進歩に結びつけたドラマチックなエピソードを多数紹介し、真に独創的な研究開発のあり方を問う医学の発見史。
目次
序論 セレンディピティ―自然科学の知られざる秘密
第1章 近代医学の夜明け―感染症と魔法の弾丸
第2章 対がん戦争の火蓋を切ったニンニクの臭い
第3章 震える水晶の糸が心臓の謎を解く
第4章 問題は人格ではなく、化学にある―精神安定剤、抗うつ薬、覚せい剤
結論 チャンスにチャンスをつかむ―セレンディピティの重要性
著者等紹介
マイヤーズ,モートン[マイヤーズ,モートン] [Meyers,Morton A.]
ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校医学部名誉教授。専門は放射線科と内科。ウォルター・キャノン・メダル受賞。ニューヨーク州在住
小林力[コバヤシツトム]
医学研究家。1956年長野県生まれ。東京大学薬学部卒、同大学院修了。薬学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
28
’10年初出。偶然による発見は、現在何百万人もの命を救うようになったブレークスルー(飛躍的な進歩、大発見)や、医薬品、技術につながってきた(13頁)。Sagacityは聡明さで、奥まで見通す知性、鋭い感受性、深い判断力で定義(22頁)。セレンディピティはW・キャノンが1945年『研究者の道』で現代科学に導入したことが端緒。パスツール:観察において、チャンスはよく準備された心にのみ微笑む(23頁)。アインシュタイン:本当に価値あるのは直感。2015/08/08
ジョニジョニ
7
常識から飛躍する重要な発見はいつも偶然であり、大事なのはそれに気づく聡明さだ…という趣旨の、薬の歴史。何か目的があって研究していたとき、そのこととは無関係な、自分にとって非常識な発見があったら、きっとイヤがってしまうと思う。自分が理解できることしか、心地よく受け入れることはできない…いやいや、それよりも、未知の出来事に好奇心をもつことこそ、人間らしい本能の求めることなんじゃないかな。ただ、精神に作用する薬はコワイなぁ。個人的には、薬全般がコワイです。2020/01/12
nekosuke
5
学生の頃、教授がよくセレンディピティと言ってたっけ、と懐かしい気持ちで手に取りました。驚きと興奮に満ちた研究の過程、創薬業界や教育機関の功罪にも鋭く切り込んだ内容は、圧巻の読み応えでした。なお、セレンディピティを得る1つの方法は、実験台を毎日掃除しないことかと思います。2015/06/04
Hirokazu Ikuta
2
製薬会社にいるので、どれもよく聞く話(飲んだ席で)だが、ここまでいろいろと集めるのも大したもの。しかし、著者は大手製薬会社の研究開発手法には手厳しい。ある意味その通り。2015/10/27
クラッシックラガー
2
p410「セレンディピティは突然降ってきて、よく訓練された科学者臨床者に捕まる」-p412「発見というのはサプライズ、突然のプレゼントのようなものだ。サプライズをあらかじめ計画することはできない」ーー結論の章が金言まみれ。途中カタカナが多く、医療に無縁な私には難読。最近の日本の教育に当てはまるような取り組みの危険性は、うちの会社にも当て嵌まるんじゃないかなぁ。マニュアル化ウエイト置かず、跳ねっ返りも認めないと。2015/10/10