内容説明
『エロエロ草紙』で注目を集める著者による昭和初期の東京・大阪・横浜・神戸の色街探訪。ステッキ・ガールの手口、結婚媒介所の罠、大阪風俗の巧みな色仕掛けなど、関東大震災を経て近代化の波にのって増殖する新手のユニークな風俗の実態とカフェーやダンス・ホールでの男女の駆け引きを活写する。八十年の時空を超えて初文庫化。
目次
第1編 東京歓楽郷案内(銀座風景;夜の浅草 ほか)
第2編 大阪歓楽郷案内(道頓堀;道頓堀の劇場 ほか)
第3編 横浜歓楽郷案内(ハマの遊び場;本牧ガール ほか)
第4編 神戸歓楽郷案内(波止場附近のガイド;港街の仙境 ほか)
著者等紹介
酒井潔[サカイキヨシ]
1895(明治28)年、名古屋市生まれ。作家・翻訳家。昭和初期のエロ・グロ・ナンセンスを主導した。52(昭和27)年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハチアカデミー
13
1931年に刊行されたエロ・グロ・ナンセンスの時代を体現する一冊。芸者遊びからカフェの女給の口説き方まで、高等なものから下等なものまで、モガ・モボは当然モジ(モダン・ジジイ)の生態まで、日本の風俗を体験談風に書き付けるルポルタージュ。「銀座」「浅草」「新宿/神楽坂」「両国」から魔窟街「亀戸」と東京都内を案内したあとは、「大阪」「横浜」「神戸」と地方都市まで紹介する親切っぷり。実際に旅行ガイド本としても読まれていたであろうことが推測できる。「銀座が東京の心臓なら、浅草は東京のお尻である」との迷言も飛び出す。2015/02/28
ポン・ザ・フラグメント
3
昭和初期の性風俗ガイドブックのようなもの。発禁本だといっても露骨な表現はない。伏字、書き換えになったのは、具体的な場所や金額、売春を示唆する文言である。最初はなかなか面白いが、後半関西に話が移ると著者のホームグラウンドでないからなのか精彩に欠ける感がある。昭和初期のカフェの女給のリアルな生態が知りたいなら、むしろ「つゆのあとさき」とか「放浪記」とか読んだ方が面白いんじゃないかと思う。解説を読んだら、この著者も「晩年は不幸」だった。誰か「晩年は不幸な作家アンソロジー」とか編まないかな。2016/01/14
ナツ
0
土地勘がある為か、大阪・神戸の歓楽郷の案内のほうが、東京・横浜より楽しめた。歓楽郷という事だが、カフェーや新地などのいわゆる風俗街以外にも、ハイキングの為の山の紹介や公園の案内もあるが、何れにしても結局は男女が二人きりになれる場所という事で紹介されているのが、なんとも言えず時代を感じる。2015/03/14
コノヒト
0
“探奇マン諸君!!”の一行で心をワシづかみ。ふと、江戸川乱歩『怪人二十面相』を思い出したのは、出版されたのがおよそ同時代だからだ。即ち、昭和モダニズムと呼ばれる時代。エログロナンセンス時代の空気をよく伝えるのは、現役感たっぷりの著者の軽妙な文章。2015/03/02
Takashi Morimoto
0
(日本歓楽郷案内)*内容 東京を中心に戦前の風俗を熱く軽く活写する。 歓楽と言えば淫靡なイメージが浮かぶと思いきや、これはもうひたすら明るい男女の営みが描かれる。と言うか、男っていつの時代も変わらないよね、と言うか。 80年くらい前に書かれた内容だが、男の求めるものは一緒。ステッキガール(ステッキが似合うおじさまとデートする娘商売)なんて、未だに名や形態を変えて秋葉原や日本橋にいますよね。 個人的には、やっぱり関西風俗の紹介。神戸・住吉・宝塚・・今や、風俗とは無縁の純潔都市もそう言う時代があったのねえ。2014/12/08
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