内容説明
東京・渋谷区円山町で事件は起き、ひとりの外国人に無期懲役の判決が下された。しかし事件から14年後、新たなDNA鑑定が隠蔽された真実を明らかにし、再審無罪の扉を開いた―。2012年度新聞協会賞を受賞したスクープのドキュメント!
目次
プロローグ 新事実
第1章 発火
第2章 疑念
第3章 喪失
第4章 逸脱
第5章 忘却
第6章 故郷
第7章 浮上
第8章 自由
エピローグ 爪に残された『真実』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
16
この有名な事件は、今日、最新DNAの結果冤罪事件として名高いが、冤罪がどれほど罪深いものか如実に表している。場合によっては永い間の留置で、拘禁反応を表し精神を崩壊させる。戦後、いくつかの冤罪事件が逆転無罪として、釈放される事例がある。袴田事件はそのいい例だ。アメリカでは世界的に有名なサッコ・ヴァンゼッティ事件やリンドバーグ愛児誘拐事件のリチャード・ハウプトマンなどは電気椅子に送られてしまい、とんでもないことだ。東電OL事件の起きたころは丁度、DNA鑑定の過渡期にあたり、現在の最新鑑定が出来る前だったらしい2022/06/28
アーク
2
日本の警察は捜査の点において優秀と言われている。つまりそれは、何が何でも容疑者を犯人に仕立て上げるという暴走にも繋がりかねないよな。東電OL殺害事件は結果的に冤罪だったが、その捜査を検証する本書でも、元捜査員たちは未だに冤罪とは信じていない節があって、もし自分が同じ立場に置かれたらどうなるかと、寒々とした気持ちになる。そしてあれだけセンセーショナルに事件を報道しておきながら、無罪判決が下った途端に「ああよかったね」で済ませるマスコミも相変わらずの日和見主義だよな。2016/01/15
うたまる
1
東電OL殺人事件の再審を追ったドキュメンタリー。まあ、冤罪を出した以上、警察・検察・裁判所は相応の批判は免れないだろう。しかし、公権力を叩いて溜飲を下げるだけで終わらせてはいけないんじゃないの?「とにかく捜査妨害しかしなかった」と批判される弁護士、初公判から1年半も嘘をつき続けた被告、被告を犯人のように報じたメディア、メディア報道を鵜呑みにした国民。それぞれ自らを省みることが必要でしょうに。他、ゴビンダさんには気の毒ながら、本件を礎に日本の刑事司法がより良いものへと進化発展してくれれば嬉しいんだけどね。2017/04/01
まあさん
1
桐野夏生さんのグロテスクを読み、それがきっかけでかの事件の闇をうかがい知り、手にした一冊です。さまざまなことが語られている事件ですが、本書は被疑者とされた外国人がどのようにして冤罪の罠にはめられていったのか、そして様々な背景が生んだ偶然も含めてその冤罪が明らかににされていく状況が新聞記者の取材過程とともに詳しく描かれます。読んでなお闇深し(一体、真犯人は?)。そして冤罪は決して起こしてはならない、の思いを強くしました。2016/09/11
はっち
1
真実は小説より奇なり。2014/09/21
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