内容説明
「蒐集はものへの情愛である」「愚かなものを蒐集してはならない」「高い代価なるが故にものを誇るのは浅はかな趣味である」…。民藝運動の創始者であり、日本民藝館の創立者である著者が、真にものを愛する心と、蒐集の心得の真髄を、豊富な体験にまつわるエピソードをまじえて解き明かす名エッセイ。
目次
盒子物語
鬼の行水
信楽の茶壼
宋拓梁武事仏碑入手の由来
赤絵鉢
曽我屏風入手の顛末
湯釜
色紙和讃に就いて
行者の墨跡
丹波焼の蒐集
京都の朝市
那覇の古着市
木喰上人発見の縁起
木喰上人遺跡佐渡調査の思い出
蒐集に就いて
蒐集の弁
貧乏人の蒐集
民藝館の蒐集
著者等紹介
柳宗悦[ヤナギムネヨシ]
明治22年(1889)、東京に生まれる。東大心理学科卒業。宗教哲学者、美術評論家、民藝研究家。明治43年、学習院在学中に武者小路実篤、志賀直哉とともに雑誌『白樺』を創刊。宗教関係の著述等を著す。明治43年の日本の朝鮮併合後、政府の朝鮮固有文化無視政策に抗議し李朝の陶磁を収集、大正13年(1924)、京城(日本植民地統治時代のソウルの呼称)に朝鮮民族美術館を開設。続いて日本の日常雑器の美の再発見という仕事に取り組み、浜田庄司、河井寛次郎、芹沢〓(けい)介らの実作者と民藝運動を起こし、昭和6年(1931)、雑誌『工藝』を創刊、同11年、東京の駒場に日本民藝館を創立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネムル
14
コロナの自粛ムードのなか、久しく器を買ってないフラストレーションを溜めつつ読む。その蒐集論、切手やマッチのラベルの如きつまらんものは集めるな、て辺りで柳に一年早く生まれた今和次郎の考現学には劣るが、なかなか良いことも言う。銘にこだわらない、集めるのでなく整えること。まあ蒐集の闇に呑まれる人は、んなこと承知で不合理を盲進するんだろが。前半の集めたもの語りは流し読み。そろそろ器買いたい。2020/05/19
qoop
4
連作である表題作が特に面白い。民衆的工芸のうちに美を発見し価値観を創造した柳宗悦が蒐集の苦労や喜悦を語るその筆調は、真摯であるゆえ余計ユーモラスとも感じられる。2023/09/14
meg
1
蒐集と人間の関係がものとの関係で考える。 感覚というか直感が大切だと説く。 とても面白かった。2023/05/11
Butterfly
1
至るところに"成る程"と思うものがあり、良い本に出逢えた。2019/05/16
Ribes triste
1
蒐集品にまつわるエピソードが楽しいです。品々の写真も掲載されており、民藝館に行ってみたくなります。2014/06/13
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