内容説明
インド史を研究する著者が、一冊の少し奇妙な翻訳書との出会いを通して、戦前・戦時下の出版の世界と、そこで身を立てた在野・独学の「雑草」のような知識人たちの生き様に惹かれていく―。問題の書物に関わった三人の人物を中心に、その足跡や交友関係を辿りながら、思想・言論弾圧の世を柔軟にかつ強かに生き抜いた人びとの群像と時代相を描く。
目次
プロローグ 「在野」の知識人たちと出版の世界―『印度資源論』に導かれて
1 『印度資源論』訳者?小生第四郎―反骨と「転身」のあいだを生きる(『印度資源論』をめぐる謎;小生第四郎とは何者か―絵描き・物書き・「社会主義者」;浅草演劇人としての小生第四郎;「新亜細亜主義」を掲げて大陸へ;「興亜十人塾」の日々;「左翼の将」中西伊之助との交遊;小生第四郎の長い戦後)
2 『印度資源論』版元 藤岡淳吉―誤解された硬骨の出版人(堺利彦の「玄関番」;左翼出版人を目指して;「日比谷公園焚書事件」の真相は?;聖紀書房に拠って、出版活動を継続;藤岡淳吉の戦後―「焚書事件」の幻影)
3 第三の男―『印度資源論』真の訳者と「大東亜戦争」(手がかりは「印度経済統計表」;綜合印度研究室に集った面々;東亜研究所第五部印度・ビルマ班―謎の核心に迫る;枝吉勇と満鉄調査部事件;謎解きの結末―小生第四郎はいかにして『印度資源論』の訳者となったのか?)
エピローグ 残された謎―「在野」の知識人たちが今の時代に遺したもの
著者等紹介
小谷汪之[コタニヒロユキ]
1942年生。東京大学文学部東洋史学科卒業、同大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(史学)。インド史専攻。東京都立大学人文学部助手、千葉大学文学部助教授を経て、東京都立大学人文学部教授。2005年定年退職。東京都立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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