内容説明
すぐれた随筆家として知られる著者が、侍従生活二十幾年にわたる感慨をこめて皇居内の四季の折ふしを、流麗な筆と巧まぬユーモアにのせて綴る珠玉随筆集。
目次
城春にして
わが庵は
吹上御苑
陛下と私
行幸今昔
陛下のお宿
陛下と相撲
陛下もまた学徒
一年に何度という海
葉山沖論戦〔ほか〕
著者等紹介
入江相政[イリエスケマサ]
明治38年(1905)東京に生まれる。昭和4年東大文学部を卒業、学習院で教鞭をとる。昭和9年より侍従、43年侍従次長、44年侍従長となり、昭和60年(1985)9月29日に没するまでの五十年間、昭和天皇に仕えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホークス
20
昭和天皇の侍従長をつとめた入江氏のエッセイで、自分など生まれる前の貴重な話が多い。高い見識とユーモアのお陰で、昔の話とは思えない軽快さである。本書の時点で既に、名人技が失われつつあると書かれているのは興味深い。需要の変化が早くなるにつれ、じっくり磨くに足る手技は少なくなるだろう。しかし、ほとんどの人が自営業の苦しさから解放され、ネットで表現領域が広がった今、昔と違う意味で技を追求できる環境になったとも言える。サラリーマンをやりながら月に一作品を仕上げ、若干の収入を得る生活など憧れる。実際は大変だろうけど2017/02/14
双海(ふたみ)
11
以前、大学図書館の廃棄本で『入江相政日記』(たしか5巻くらい?)をもらったので名前を覚えていました。戦時中の話、興味津々。 「入江相政:明治38年(1905)東京に生まれる。昭和4年東大文学部を卒業、学習院で教鞭をとる。昭和9年より侍従、43年侍従次長、44年侍従長となり、昭和60年(1985)9月29日に没するまでの五十年間、昭和天皇に仕えた。」2014/06/02
sasha
7
学習院の先生から昭和天皇の侍従・侍従長になった入江氏のエッセイ集。そうなんだよな、皇居って江戸城なんだよ。だから、入江氏の仕事場もお城の中。敗戦後の昭和天皇の全国巡行にも多く同行した入江氏は、各地で国民のなかに入っていかれる昭和天皇のお姿に接して、これが皇室のあるべき姿だと感じるんだよね。「開かれた皇室」を理想とした入江氏だからこそなんだろうな。こんなところが原因で、一部の人からは入江氏は逆賊呼ばわりされてるんだろうか。尚、ご婚約自体の美智子皇后のお妃教育で皇室の慣習を担当したのも入江氏である。2018/05/08
Yana Hashiguchi
1
入江相政という侍従によって書かれた皇室と自分にまつわるエッセイ。 昭和天皇を愛らしい人に描きながら「開かれた皇室」をアピールした作品になっている。 表現が細やかで読みやすい。 昭和を知らない世代として当時の気風を伺える貴重な随筆と言える。2015/11/23
Aさの
0
★★★☆☆ 小田部雄次氏の解説「入江の饒舌さの背後には、公には語ることができなかった多くのタブーがあった。こうしたタブーを意識して読むと、入江の随筆はまた新たな側面をみせてくれる。」 かの君にしてこの臣あり、怖ろしいタレント性。2018/05/15