出版社内容情報
いろんなことを考えてはお喋りしあっている、エプシロンとミュー。二人の会話から、哲学の原風景が見えてくる。川上弘美「『ここにないもの』に寄せて」付。
内容説明
死ぬのってさ、なんでこわいんだろう?この空の色は何色だと思う?エプシロンとミューは、いろんなことを考えてはお喋りしています。世界の姿を探ろうとする会話の中から見えてくるのは、言葉の意味を探りながら、言葉で世界の意味を作ってゆくという、哲学の原風景です。川上弘美「『ここにないもの』に寄せて」を冠し、植田真の絵と贈る決定版。
目次
『ここにないもの』に寄せて(川上弘美)
「人生は無意味だ」って、どういう意味なのだろう
十年前のぼくも、ぼくなんだろうか
ことばで言い表わせないもの
自分の死を想像することはできるか
未来は存在しない?
著者等紹介
野矢茂樹[ノヤシゲキ]
1954年(昭和29年)、東京都に生まれる。85年、東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は哲学
植田真[ウエダマコト]
1973年(昭和48年)、静岡県に生まれる。98年、雑誌「イラストレーション」(玄光社)の「ザ・チョイス」で年度グランプリ受賞。本の装画、挿絵、CDジャケット、広告などにイラストレーションを提供するとともに、近年は絵本作家としても活躍の場を広げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つねじろう
56
これは完全にジャケ買い。涼しそうだしタイトルもなかなか。で、中身も良かった。ミューの素朴な疑問を深く考えて答えを出そうとするエプシロン。素朴な疑問も考える事を諦めない2人。答えを出しながら同時に新しい疑問も産み出すと云う作業、対話を繰り返しながら世界とか人生とか死とかを考える。見えるから有るのか?有るから見えるのか?その見える物は本当の姿か?本来ならば理屈っぽくて読む気にならないテーマも二人のとぼけたお喋りで案外サラッと心に落ちて来る物があり納得してしまう。雑然とした脳みそも少し涼しくなるような本でした。2014/08/03
sibarin♪
38
エプシロンとミュウの会話形式で進んでいく哲学。哲学って、何が どれが どうが哲学なのか説明できないけどこの二人の会話にならついていけそうな気がした。「未来は存在しない。未来は[ある]のではなく[なる]。そこにある未来がその時になれば分かるというのではなく、未来はない。ないものが生まれてくる」フムフムと納得。一生懸命答えを導き出そうとするエプシロンとミュウの会話はその中に次の疑問が発生する瞬間でもあり考えることが尽きない二人。読みやすい哲学書でした。また読み返したいと思った。2015/09/08
井月 奎(いづき けい)
34
哲学とは他者を頼らずに自らの力で幸せになるための学問だと私は思っています。幸せとはとても大きくて漠然としたものです。ですので、それを求めようとすれば難しい言葉、文章になるのは致し方のないことではあります。ありますが、難しいがゆえに敬遠されたり曲解されたりする要因にもなっています。この本はエプシロンとミュー、その二人の会話は難しい言葉などはありませんが、人の思いの根源をのぞき見ることができます。のぞき見たのちどうするのかは読んだ者に委ねられています。幸せになるための思考の型、それが哲学だと思います。2023/11/09
赤とんぼ
24
哲学の最初の一歩を踏み出す本だと思いました。「ミュー」と「エプシロン」の対話がゆっくりと深まってゆくのを追ってゆくのがとても楽しかったです。「ことばでしかすくいとれないもの、だけどことばでは言い表しきれないもどかしさ」「そのもどかしさっていうのは、そこまでことばで言い表したからこそ、姿を現した」。言葉で思考することについての根源を見たように思いました。上田真さんのイラストがまた、言葉のむこうにあるなにかを表しているようにも見えて、風がとおりぬけるようなさわやかさを感じました。2014/12/11
ichiro-k
19
特に形而上の問題では、いろいろな考え方があってもいい、と思うが、 どうも内容(結論?)には納得できず。2014/06/14