中公文庫<br> 時平の桜、菅公の梅

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中公文庫
時平の桜、菅公の梅

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  • サイズ 文庫判/ページ数 351p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122059221
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

凡庸だが人心の機微を知る貴公子・藤原時平。破格の才力で他を圧倒する菅原道真。親の七光りで出世を重ねる時平は、自力で地位を築いた道真を敬慕し、その背中を追って国政に奮闘する。しかし上皇が時平率いる藤氏を疎んじ、道真を偏愛したため朝廷は二つに分裂。時平はかつて志を分かち合った道真と、互いの政治生命をかけて対立することになる!

著者等紹介

奥山景布子[オクヤマキョウコ]
1966年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。高校教諭、大学専任講師などを経て創作を始める。2007年に「平家蟹異聞」で第八七回オール讀物新人賞を受賞。09年、受賞作を含む『源平六花撰』で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤枝梅安

71
「時平」といえば、歌舞伎・「菅原伝授手習鑑」の「車引き」に出てくる歌舞伎の中でも超悪人のキャラクターを思い出す。この小説は、道真の事務処理能力と博学に圧倒されながら、藤原氏の「一の人」として、一族を束ねなければならなかった時平の苦悩を描いている。政治家に必要なのは、才能・家柄・人柄、それぞれに恵まれた人材の相互協力なのだろう。平安時代の「政」を描きながら実は現代の政治家も陥っている「政争」の有様をこの小説は説いている。紀貫之の役どころと、時平の弟の忠平がちゃっかり自分の子孫を繁栄に導くのが興味深い。2014/08/27

巨峰

64
年の初めの読了から凄いのを読んでしまった。己の限界をよく知る藤原時平と自分を信じる菅原道真。時には手を携えて政を行うも、最後には抜き差しならぬところで対立してしまう。脇のキャラもしっかりと描いていて、充実の読書となりました。歴史小説好き、平安好き、王朝物好きの人は是非読んでください!2017/01/15

Mijas

56
新鮮な驚きの連続で読む手が止まらなかった。藤原時平の日記のような趣でありながら、朝廷の政争、上皇と天皇の主導権争いなど歴史的背景も仔細に語られる。日本史の教科書の事柄が生き生きとしたものとなり面白かった。時平は謙虚で、周囲に気を配る調整役。道真に対しても尊敬の念を抱いている。時平のイメージが変わった。風雅を好み、紀貫之と「やまと歌」について語り合う時平は純粋で真っ直ぐだ。「帝」を守るところも。「かの人」への心情を吐露するところも。谷崎潤一郎「少将滋幹の母」の時平と北の方がここでは幸せでホロっとさせられた。2017/04/16

アルピニア

38
時平と道真。世の中を良くしたという志は同じだが並び立たなかった。もし宇多上皇がいなかったら・・と考えてしまう。しかし、いなかったら道真の抜擢もなかっただろう。多岐にわたる才能を持つがゆえに巻き込まれる道真。唐へ行って詩の心を追求したいというのは本音だったに違いない。一族の重責を担う若き時平と貫之の身分を越えた友情が光る。太宰府への出立の際に時平に送った歌や大宰府左遷後に奏上された史書の草稿から、道真は政から離れてホっとした面もあったのかもしれないと感じた。読み応えのある骨組みのしっかりした作品だと思った。2017/07/29

Norico

20
私は今まで梅派でしたが、桜のよさもありますね。凡人であるがゆえに、世の中を良くするために努力を惜しまず、周りを巻き込んで尽力する時平と、天才がゆえに性急な道真。どうしようもなくすれ違ってしまう哀しさ。紀貫之の人となりと松王丸の献身がいい。2017/02/16

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