内容説明
足利学校で共に学んだ仲間たちと別れた山本勘助。軍配者として仕えようと駿河の今川家を訪れるが、過去の因縁から逆に囚われてしまう。以来六年、齢四十を超えて尚、仕える主君と巡り会えずにいた。そんな折、甲斐を追われた武田信虎から実子・晴信暗殺計画を告げられる。死中に活を求めるべく甲斐に向かう勘助は、ついに歴史の表舞台へと歩み出す!
著者等紹介
富樫倫太郎[トガシリンタロウ]
1961年、北海道生まれ。98年に第四回歴史群像大賞を受賞した『修羅の跫』でデビュー。伝奇小説、警察小説、時代・歴史小説と、幅広いジャンルで活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
305
『早雲の軍配者』よりも俄然面白いというのが私の評価。それほど武田家贔屓というわけでもないのだが、ここはやはり山本勘助のキャラ造形によるものだと素直に認めておきたい。三人の友の中で一番の年寄りで仕える家もなく、十年以上の歳月を無為に過ごし、それでも自分を変えずに、憎まれ口を叩く勘助が、時には死にかけて、友である小太郎に甘えてしまいそうになるのを耐え、ついに巡り会った終生の主、晴信のもとで大きく変わってゆく様は、応援せずにいられない。千草の存在も肝であり、一層物語が充実する。下巻も楽しみ。2021/06/17
yoshida
159
足利学校から建仁寺で軍配者としての修行を積んだ山本勘助こと四郎左。彼は多くの大名家からも仕官を断られる。理由は幼少の頃に患った病による、醜い容貌のため。自分の生れた駿河の今川家に仕官を求めるも、容貌と過去の因縁から6年に渡り幽閉される。死を覚悟して駿河を脱出した山本勘助は、小田原で風摩小太郎と再会。再び自分の夢に気付いた山本勘助は、決死の覚悟で武田家に仕官を求める。武田晴信の能力を重視した考えから、武田家に仕官がかなう山本勘助。彼は容貌を気にもとめない武田晴信の為に命を賭して仕える決意をする。物語の開幕。2017/09/16
レアル
66
山本勘助の話。同じ足利学校で学んだ友が活躍の中、一人不運な人生と夢半ばの四郎左。四朗佐の辛い人生が描かれていた前半だったが、ようやく武田に雇われて道が開けることとなる。辛苦の人生を肥やしにしてきた四郎左。人の縁も人の運も不思議なもの。下巻はきっとその活躍が見られるのだろう!こちらもも早雲同様、一人の男が軍師になっていく成長譚。読みやすいし面白い。2016/01/16
優希
52
軍配者としてのスタートラインに立った山本勘助こと四郎左。足利学校で学んだ仲間たちと別れ、苦難の連続なのには胸が痛みました。駿河の今川家を訪れれば捕えられたりと出自のために苦汁をなめる勘助ですが、ようやく理解を得られるところに召し抱えられてよかったと思います。四十を超えても主君を見つけられなかったのにようやく武田に巡り合えたと言えるでしょう。甲斐の国へと向かい始め、ようやく勘助の軍師生命が始まります。いよいよ歴史の表舞台へ、人生の集大成とも言える戦の日々へと身を投じていくことになるんでしょうね。2014/09/08
hrmt
41
軍配者シリーズ2作目。山本勘助は実在したかどうか不明説もあるとの事。真実はこの際重要と思えないほど富樫作品の人物像に魅かれます。今川家への士官を目前にして駿河で囚われ、逃亡するまでの間6年。鉄斎に己の戦だと諭され武田家への士官を果たし、晴信の器量の大きさに惹かれこの為に苦難の20年があったのだと思えた勘助。昔と変わらない小太郎、鉄斎、信虎に命を狙われた晴信、重臣原虎胤と娘.千草…と魅力的な登場人物がたくさん‼︎上巻では勘助は未だ戦に関わりませんが、かの有名な山本勘助。そこは安心して下巻に進むことにします。2017/10/22