内容説明
新選組の大活躍から、戊辰戦争の幕軍兵士の大敗走までを丹念に追った「幕末研究」と、番町皿屋敷の真実や四谷怪談伝説など、巷間の話を古老から聞き集めて編んだ「露宿洞雑筆」の二編を収録。市井に生きた庶民の哀しみや人情に寄り添い、温かい筆致で綴った秀逸な随筆集。
目次
幕末研究
露宿洞雑筆
露宿洞記(小金井小次郎の臨終;十四歳の介錯人;桜下に人を斬る;名君;小便;旅人;小笠原壱岐守;妓夫仁義;戸ケ崎熊太郎;大石進とちんばの孝吉 ほか)
著者等紹介
子母澤寛[シモザワカン]
明治25年(1892)、北海道生れ。本名、梅谷松太郎。明治大学法学部卒。新聞記者を経て文筆業に。昭和3年の『新選組始末記』に始まる新選組三部作の実録や時代小説を多数手がける。昭和37年に菊池寛賞受賞。昭和43年(1968)没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤瀬こうたろー
20
幕末と題されていますが、番町皿屋敷等、江戸中期の話もあります。この作品の年代は、戦前それも大正から昭和初期で、古老からの聞き語りの話をもとにしてて真偽は不明なところもありますが、それこそ、幕末の人物もまだ存命していて臨場感が凄いです。近藤勇の知名度が低く、暴力団の親玉みたいに言われていて悲しいといった話が出ており、時代を感じさせます。得意の新選組の話はもちろん、沖田総司の甥の芳次郎の話や江戸の新徴組の話も出てきて大変貴重です。切腹にまつわる話が多く、何かというと腹を切ってて武士って大変ですね、ホント。2020/05/04
しーふぉ
15
幕末期を話し言葉で書いている。講話のようなものを纏めたのか、初めからこういうスタイルで書いているのかは分からない。 2019/07/21
紫暗
6
大部分が著者が集めて歩いた幕末のこぼれ話をまとめたものという感じでした。歴史の教科書に載っているような大事件ではなく、身近で小さなエピソードが親近感が持ててとても楽しかったです。嘘も盛った話もあるのでしょうが、当時を生きる志士たちを見た人の生の声を聞いたような気がしました。2014/10/13
ゆぅ
4
後半、新徴組の話が多く、あまり触れたことが無かったので新鮮で面白かったです。元々興味があった沖田総司の甥っこ登場が、個人的には「おっ」となりました。新撰組もちょろっと登場。2023/03/03
Ribes triste
4
前半の幕末史を物語るのも面白いのですが、後半の雑多な短文集が、これまた、たまりません。2014/08/07