出版社内容情報
荒木一郎、岸田森、川地民夫、成田三樹夫…。今なお眼に焼き付いて離れない昭和の怪優十二人を、映画狂・鹿島茂が語り尽くす!全邦画ファン、刮目せよ!
内容説明
荒木一郎、岸田森、三原葉子、渡瀬恒彦、成田三樹夫…。今なお眼に焼き付いて離れない不世出の「脇役」十二人を、自らも熱狂的な映画ファン・鹿島茂が語り尽くす!「健さんが脇役だったころ~ギャング・エイジの高倉健」ほか特別収録。
目次
不器用な愛 荒木一郎
哀しき肉体 ジェリー藤尾
孤高のドラキュラ 岸田森
天才は多作である 佐々木孝丸
抗い難き過剰 伊藤雄之助
横目な色悪 天知茂
一九六九年のハンサム・ピンク 吉澤健
生涯一エロ女優の心意気 三原葉子
我が存在に余りなし 川地民夫
パラドキシカルなエロスの女神 芹明香
鉄砲玉役者の美学 渡瀬恒彦
ホモ・ソーシャルな悪の貴公子 成田三樹夫
著者等紹介
鹿島茂[カシマシゲル]
1949年(昭和24)、横浜に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、明治大学国際日本学部教授。専門は、十九世紀のフランスの社会生活と文学。91年『馬車が買いたい!』でサントリー学芸賞、96年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、99年『愛書狂』でゲスナー賞、2000年『職業別パリ風俗』で読売文学賞、04年『成功する読書日記』で毎日書評賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シブ吉
53
昭和四十年代の、主に東映・日活のプログラムピクチャーを浴びるほど鑑賞した筆者。数々の映画の中から記憶に刻み込まれた「脇役」たち。その濃さたるや、主役級の面々が次々に登場。思い入れのこもった俳優十二人をチョイスし、その出演作から、粒よりの名場面を掘り起こす。ビデオやDVDでも日の目を見る事は少ないであろう作品の中で、脇役たちの輝きを発する姿が目に浮かび、その映画が観たくなってしまいました。個性豊かな脇役たちの中でも、最後に登場した成田三樹夫さんの、映画『柳生一族の陰謀』における「烏丸少将」は、凄かった。2013/11/04
道楽モン
43
邦画の全盛期は1950~60年代で、その余波は70年代前半まで続いたという見解である。高度経済成長期、テレビの普及前、映画の観客数・映画館数・作品数は過去最高であった。監督は娯楽性と作家性のバランスを保ちつつ、スターを起用し、常に最新作が最高傑作となるよう努力と情熱と職人魂で映画を作り続けた。筆者は邦画の全盛期に造詣が深く、その視点も解釈も納得できる。個性的な脇役12人の代表作3本を取り上げて彼らの存在意義を熱く語った本書は、込められた熱量を反映し、素晴らしい一冊となった。36本はすべて納得の名画である。2025/04/29
ヨーイチ
28
著者の鹿島茂は小生より少し上。学生運動で著者がプログラムピクチャー漬けになっていた頃小生はアングラとかフーテンとかの世相を怖々とサーチしていた事になる。映画なら洋画ってコンセンサスの重圧もあった。ましてやエロ映画なんてトンデモないと思っていた健全な田舎の子供であった。本職でもないのにこの研究態度は尋常じゃない、流石は鹿島先生と再認識した。その後演劇に興味を持ちこの本の中身も大分理解できるようになったと思う。映画にうるさい知人の勧めで田中登監督特集をぴあで探して名画座に行ったことも。続く2023/01/04
たくのみ
16
帰ってきたウルトラマンの岸田森、じつはドラキュラ役者としてすばらしい。ドジで間抜けなわいせつ犯をやらせたら右に出る者はいない荒木一郎。 ヤクザとギャングの親分をやらせたら天下一の佐々木孝丸の本当の姿。 渡瀬恒彦は鉄砲玉役者が似合う。青年だった著者がひたすら追いかけた東映B級ギャング映画の世界。有名無名の俳優たちの、まったく語られない世界がひろがっていたのでした。2016/06/26
緋莢
15
2005年11月に刊行された『甦る 昭和脇役名画館』(講談社)に「健さんが脇役だったころ~ギャング・エイジの高倉健」を追加する等、増補・改題した本です。1970年から77年までの8年間、年平均3、400本 その前後を含めると10年間で3000本以上の映画を観たという著者が 印象的な脇役を十二人を紹介した本です。映画にたいして詳しくない自分が、この本を手に取ったのは、その十二人の中に岸田森が入っていたから(続く 2019/12/04