出版社内容情報
完全に封印され「密室」となった館で起こった一族6人殺しの犯人は、いったい誰か? 推理合戦が繰り広げられる館ものミステリの傑作、待望の復刊。
内容説明
完全に封印され「密室」状況となった館で起こった一族六人殺しの真犯人は、いったい誰だったのか。事件から一年後、真相を探るべく館にやってきた兄弟たちは推理合戦を繰り広げる。そして、また悲劇の幕が開いた…。恐怖と幻想に満ちた本格ミステリー。巻末に全著作リストを付す。
著者等紹介
今邑彩[イマムラアヤ]
1955年(昭和30)、長野県生まれ。都留文科大学英文科卒。会社勤務を経て、フリーに。1989年(平成元)鮎川哲也賞の前身である「鮎川哲也と十三の謎」に応募し、“十三番目の椅子”を『卍の殺人』で受賞。以降、推理小説を中心にホラーなどを手がける。2013年(平成25)没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
484
予想していた以上に人物に古さを感じたが、好き系統のプロットがてんこ盛りで、それでいて短くて読みやすい好印象な一作。グリム童話の見立て殺人ってありそうでないような。過去の事件が雰囲気満点なのに対して、現在進行形の事件が緊張感なく、割かれる頁数も少ないのが残念なところ。綾辻氏の館シリーズのように、章ごとに過去と現在を同時進行で進めた方が面白くなったのではないかと考えてしまった。良く纏まっているのに、トリックや過去の因縁なんかは、有名作品の焼き直しであり過ぎて新本格というカテゴライズでは輝ききれなかった印象。2017/06/07
しんたろー
229
今邑さん初読み。「古い洋館」+「密室」+「グリム童話に見立てた殺人」と本格ミステリのお約束にオカルト要素まで加えてサービス精神満載の作品だった。様々な謎と怪奇な現象で飽きさせない展開は嬉しいし、ミステリ初心者でも安心して楽しめる心遣いを感じた。残念なのは、霊感少女や管理人など「現象のための登場人物」が散見して、誰の心情にも頷けるものがない事…本格ものにありがちな「人物が薄い」のが惜しかった。それでも『序章という名の終章』という、ループ的な構成が、最後まで読んでから読み返すと味わいがあるのは高評価。2018/06/04
🐾Yoko Omoto🐾
178
本格もので何かお薦めを、と言われたら間違いなくイチオシできる面白さだった。80年前の曾祖母“エリザベート”の謎の失踪、その後邸で起こった使用人一家の心中事件、そして9年前の田宮弥三郎のひ孫たちと使用人6人が殺し合ったとされる不可解な殺人事件。過去の謎、密室殺人、意外な犯人にその動機と王道の中、とりわけ「見立て殺人」はこの事件そのものを象徴するかのごとく実に素晴らしい役割を果たしている。また読了後に“序章という名の終章”に立ち戻ることで感じるカタルシスは一入だ。本格にオカルトテイストが見事に嵌まった秀作。2015/08/12
麦ちゃんの下僕
143
[第1回○○荘めぐり③]3軒目は、武蔵野にあるドイツ風の洋館。1911年に田宮弥三郎氏がドイツ人の妻のために建築。ラランデの設計と思われ、館の周囲には金雀枝が植えられています。◇今邑さんは初読みですが、実に読みやすいですね!そして「序章という名の終章」が秀逸すぎます!事件の展開の暗示が、実はトラップ!?…これには騙されました(笑) 1913年を発端に、1922年の無理心中事件&1989年の6人殺害事件&1990年の新たな事件が絡む、4世代間の複雑な“謎”…ある程度予想は的中しましたが、実に面白かったです!2020/07/19
nobby
143
怪しげな洋館、館内見取図、家系図及びあて漢字でのドイツな名前群、密室殺人、見立て殺人、そしてプロローグがエピローグなどワクワク満載ミステリーを満喫♪数世代に渡る大量殺人劇の解決や迫り来る危機への予測も、作家の思う様に誘導されるのが心地よい。グリム童話からの7匹の子ヤギやオカルト少女の絡め方も絶妙。そして最後にやっぱりどんでん返し!血をめぐる伏線も気付いてみれば、かなり前からふと表現あった。読み友さん達の絶賛の声に納得、そして乗っかって正解♪2015/09/07
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