出版社内容情報
三国志よりさかのぼること二百年。劉邦の子孫にして、勇武の将軍、後漢王朝を打ち立てた光武帝・劉秀の若き日々を鮮やかに描く。
内容説明
父の死により、叔父に引き取られ、使用人とともに田で働く劉秀。高祖・劉邦の子孫でありながら、鮮明な未来を描くことができぬ日々を過ごしていたが…。三国時代よりさかのぼること二百年。古代中国の精華・後漢王朝を打ち立てた光武帝・劉秀の若き日々を、中国歴史小説の巨匠が鮮やかに描きだす。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、愛知県蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。その後帰郷、執筆活動に取り組む。平成3年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。5年『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、12年には第三回司馬遼太郎賞、13年『子産』で吉川英治文学賞、16年菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふじさん
95
三国時代よりさかのぼること二百年。古代中国の後漢王朝を打ち立てた光武帝・劉秀の若き日々を描いた力作。父親の死により、叔父に引き取られ、使用人と共に田で働く劉秀、高祖・劉邦の子孫でありながら、自分の未来を描くことが出来ずにいた。悶々として日々を過ごしていたが、常安への留学を機に、多くの人々と知り合い、劉秀の人柄が多くの人々の眼にとまることになる。そんな中で、王莽の悪政に耐え切れずに各地で反乱が起き、劉秀も遂に立つ決心を固める。劉秀の人物像が清々しい。今後が楽しみな展開。少し難しいところはあるが。2023/10/01
KAZOO
78
後漢の始祖の光武帝の生涯を3巻にしたもので、この巻では若かりし頃28歳までについて書かれています。王莽に簒奪された先祖の王位を取り戻すべく立ち上がるまでを書いています。劉秀という名前ですが、劉という文字がつく人物がたくさん出てくるので最初は戸惑いましたが、最後のほうでやっと主人公らしき姿が明確になってきました。2015/08/04
はっせー
62
面白かった! まだ上巻であるが劉秀の人柄がよく分かった!当時の中国がいかに民のことを考えていないかが分かった!劉秀の今後の活躍をもっと見たいと思った!2019/01/15
姉勤
37
のちに「前漢」と称される、漢が建国されて約200年。漢の高祖劉邦の血を引くが数代を経て、没落貴族の傍流と呼べる家系に生まれ、世が太平ならば家系図に名を記すだけに終わったであろう、青年「劉秀」の物語。時は王莽に天下を奪われた「新」の時代。性急な改革と独裁は、世を掻き乱す。のちの光武帝と呼ばれる農事に長けた青年は、留学のため首都常安(長安)に上り、世の中を知り、人を識る。新王朝に対する反乱は各地で起こり、劉秀の属する一族も漢の再興を目指し兵をあげる。2023/04/10
著者の生き様を学ぶ庵さん
27
稼穡(農業)に精通せる青年・劉秀(後の後漢初代皇帝・光武帝)の魅力あるは、それ清廉にてあり続けたるが故なり。我が身もかくありたし。稼穡、運送、蜂蜜が製造販売など、様々なる商売全てに成功せり。これも憧れの的なり。土の香り多き劉文叔は、介子推が透明感を持つばかりか、重耳が如き輔弼する名もなき人々を活かす好漢たるが、後の凋落激しき後漢が初代皇帝とは、え思ほえず、大いなる皮肉なり。第一巻は赤眉の乱から王莽の新王朝倒壊に向かはむとす。2015/12/09