出版社内容情報
沈黙を貫く、殺人犯かもしれない男。彼を護り、信じる刑事。時効事案を挟み対峙する二人の傍で、新たな殺人が発生し――。哀切なる警察小説。〈解説〉稲泉連
内容説明
十七年前の殺人事件で犯人と目された男・末松は、自らの無実を証明しようともせず、沈黙を守り続けていた。ある日、末松が何者かに襲われ、警護を命じられた刑事の氷室は、彼が何かを隠していると確信し、独自に調べ始める。そして、末松の共犯だという男が殺された―。「容疑者」に甘んじる男の心の謎をめぐる物語。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年秋『8年』にて第13回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
96
堂場さん独特の会話のテンポに引きずられ、期待感いっぱいで一気読み。みなさんと同じく、実は違う展開を期待してました。『検証捜査』のときもそうだったけれど、主人公刑事の魅力がうまく伝わってこないのが残念。そして堂場さん作品に登場する脇役的な女性って同じタイプが多い(必ず細身の美人)んだが、その使われ方も女性読者としては疑問な感じでした。辛口書きましたが、ラストの意外性(今回は逆の意味で)と、リーダビリティはさすが。現代の地方都市(実家のある街を思い浮かべて読んだ)の抱える問題に焦点を当てたのも良かったです。2015/03/23
ユザキ部長
48
誰かが殺され、遺族が悲しみ、社会が犯人を憎み、マスコミが先頭立って糾弾する。警察はステレオタイプに捜査する。でも実際に事件は一つ一つ、顔が違う。迷いや憎みきれない思いが交差する。折り目正しく生きるようには、なかなか出来ない。2023/02/18
papako
37
堂場作品で、ひさびさに面白かった。時効を過ぎた事件の犯人と名指しされた男が襲われる。なぜ、ノーコメントなのか。なぜ、当時の警察はつめきれなかったのか。17年の時をこえて真実にたどり着く主人公の刑事。犯行にいたる動機は短絡的かもしれないが、沈黙を守った男気には敬服。時効で罪が消えるわけではなく、結局彼は死ぬことで救われたのだと思う。警察に裁かれるだけが罰ではないが、最後の選択に、生き残った人たちは耐えるしかないのかなぁ。私は、罪を償ってほしい。堂場さんのこういう重苦しい小説が好きです。2014/01/10
RIN
30
ノンシリーズ。中盤までは無理やり長編仕立てにしたような冗長さを感じたが、次第に、犯人と名指しされながら沈黙を守る男に主人公の刑事と同じ苛立ちともどかしさを感じ始め、そういう効果も狙ったのかな?と思えるように。主人公は堂場さんのお約束、組織に溶け込めない一匹狼的独善的何かへの異常な拘りを持つ刑事。ただ、シリーズものに比べると年齢が高い分、普通に偏屈なオヤジ刑事。考えてみたら鳴沢も高城も割りと若いから特徴的だがあのまま年取ったら誉田哲也氏姫川シリーズのガンテツみたく普通の頑固おやじ刑事なだけかも(笑)。2015/05/04
ヨーコ・オクダ
24
文庫本で500ページ越えのボリューム。長かったけど、そないに苦にならんかったわ。時効を迎えた17年前の殺人事件で限りなくクロの印象が強かった男・末松と、今更ながら17年前の真相に迫っていく刑事・氷室。ストーリーは、この2人の距離がジリジリと縮まりながら、真相がジワジワ浮かびあがるという、遅い目のペースで進んでいく。この2人に関しては、すごく重い意味を含ませて濃ゆく描かれてるのに、ある意味、もう1人のキーパーソンである17年前の事件の被害者の息子・武則が担う役割が薄すぎるような…?2013/11/09
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