内容説明
「名人といわれる芸の継承者がひとりでいい、古典芸能はそれだけで生命を保ちつづけられる」「日本の古典芸能の歴史は名人芸の歴史であった」…、文楽、小さん、正蔵、志ん生、円生ら名人の「芸」の本質を、みずみずしい筆致で描いた著者24歳の処女作。
目次
序章 桂文楽
第1章 名人芸の本質(高座の様式―桂文楽の“出”について;師匠の系譜―三代目三遊亭円馬;師匠の系譜―五代目柳亭左楽)
第2章 話芸としての落語(噺家の体質―志ん生、正蔵、円生、小さん、文楽;話芸とその姿勢―小さん、円生、正蔵、志ん生、文楽)
第3章 桂文楽と噺(盲人の噺;旦那の噺;若旦那の噺;夫婦の噺;幇間の噺)
第4章 桂文楽の空間(道化の衰微―噺の質的変遷;夢の空間)
著者等紹介
山本益博[ヤマモトマスヒロ]
1948年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部演劇学科卒。落語評論家、料理評論家。在学中、国立劇場小劇場の第五次落語研究会第一回に入場、初めて八代目桂文楽の落語を体験する。桂文楽をテーマとした卒業論文が72年『桂文楽の世界』(芸風社)として商業出版され、さらに74年、新版『さよなら名人藝―桂文楽の世界』(晶文社)として刊行された。以後、KTVの演芸番組「花王名人劇場」のプロデューサーや、テレビ朝日「ザ・テレビ演芸」の「飛び出せ!笑いのニュースター」審査員も務める。演芸、料理に関する著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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絶間之助
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山本益博が学生の頃に書いた、桂文楽への哀悼の記。私がライブに聞いていた落語は円生、小さん、志ん朝、談志で、文楽や志ん生というとCDの世界なので、実感がなかったのですが、本書で位置付けが大分と分かりました。なるほど稀有な名人だったのですね。実際の高座を見たかったです。特に景清は見たいなあ。CDとは印象が違うのでしょうね。巻末の小沢昭一との対談も、小沢らしい味がありました。でも、江戸から明治に伝わって来た落語と違う現代の落語も、面白いものは面白いと思うのですけどね。実は、今日は志の輔を聞きに行くのです。2014/10/27
kunchan
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「名人芸の黄金時代 - 桂文楽の世界」読了。かつて演芸評論家であった山本益博の40年前の処女作。この分析力と表現力はすごい。24歳の作品と聞いてびっくり。「演芸で評論することはなくなった」と言って、料理評論家に転向したという"伝説"もこれなら納得です。円生への評価が辛いな、と思っていたら文庫本のあとがきで少し反省しているのも流石。 2013/02/07
lovejoy
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★★★2020/07/21
fukurou3
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今から約半世紀前、20代の若者が、昔の芸は良かった、今はもうダメ、今後もこういう良い芸は出てこないって言ってる。文章もちょっと硬めの評論調。文系サークルの議論っぽい。著者の人はたまにマスコミとかで美味しいもの食べて蘊蓄語ってるおじさんという印象だけど、この本では真っ直ぐでちょっと背伸びした感じ。2022/02/25