内容説明
些細なことでもよくってよ。日々の「?」をまな板に載せ老若女女が語らえば―女たちの不思議な集まりに参加することになった主婦菜月は、奇天烈な会合に面くらう一方、日常をゆさぶる出来事に次々見舞われて…。幾多の難儀を乗り越えて、菜月は平穏を取り戻せるのか!?夫婦、嫁姑、親子、同僚。人とのかかわりに、ふと戸惑いを覚えてしまう貴女に好適。コミカルなのに奥深い、川上弘美的ガールズトーク小説。
著者等紹介
川上弘美[カワカミヒロミ]
1958年東京生まれ。94年「神様」でパスカル短篇文学新人賞を受賞しデビュー。96年「蛇を踏む」で第一一三回芥川賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
534
新刊で購入したのは2〜3年前の帰国のときだったか。なぜか苦手なエッセイだと思い込み、読むのを避けていた今作。専業主婦(子どもはまだいない)である菜月は、優しい夫と共に平凡ながらも幸せに暮らしていた。ひょんなことから「これでよろしくて?同好会」というガールズトークの会へ誘われる。そこへ夫の家族が彼らのマンションに入り込んできて…。登場人物たちの心情描写の描き込み方が秀逸。他人から家族になろうとする義理の関係の面倒くささ。「ヒトはみな変わってゆく」当たり前のことなんだけどな、認めるのは難しいよね。2023/08/29
相田うえお
114
★★★☆☆19058 これは既婚女性、特に元気過ぎる姑さんがいらっしゃる方にとって共感できそうな内容が満載なので、そういうのが読みたいときは、とてもよろしくてよ。男性抜きで女性が楽しむ女性のための読み物だという感じじゃなくって?男からすればヤバいとこをのぞき見してしまった、みたいな。【本作品とは一切関係ありません】●ご飯をよそうのに茶碗とは?これ如何に?●まな板の『まな』は、茉奈 佳奈のマナではない。●風呂、隙間風が入り込むほどボロ屋だったか?●すき焼きは好きなものを焼くからではない● 汁用お玉と蛙の関係2019/06/30
まさきち
88
「これでよろしくて?同好会」という女性4人の集まり。そこは美味しい料理を食べながら、日常に転がっているどうでもいいような議題について素直な意見をぶつけ合い、結論など求めずに、各々が腑に落ちるところを見つけていく。そんな彼女達の視点がまた珍妙で楽しめるものの、真を付いているところもまた一興。そして話していながらもふわふわと思考が浮遊し、様々な方向に広がっていくガールズトーク小説は、思いの外ツボにはまってしまいました。2019/08/21
美登利
88
ずっと読みかけのまま放置してました。なので、前に戻って読み返しました。50年以上生きてると色々なことを経験して、また周りの人たちが経験したことも耳に入ってくるから、どれもあるあるな話です。ただ妙に主人公が淡々としてるというイメージがあり、私だったら爆発してしまうなぁと思ってみたり。突然昔の恋人の母親に声を掛けられて、風変わりな会に参加する結婚数年の菜月。そこには年齢も職業も様々な女性が集い、お題を出して語り合う。少し怪しい感じだけど、答えが出ないところが良いのかもね。お喋りをするだけで軽くなるものだから。2016/12/12
Ikutan
86
主婦の菜月が元彼の母親に誘われ参加したのは、不思議な集まり『これでよろしくて?同好会』。日々の「?」を議題に様々な年齢の女たちが語らう。川上さん、今回も奇天烈な発想!!でも、このちょっとくだらない議題が絶妙で、つい引き込まれてしまうのだ。夫婦、嫁姑、家族..日常生活の様々な変化に揺さぶられた菜月は、このガールズトークから自分の気持ちに気づいたり、新たな考えを見出だしていく。川上さんの言葉の選び方が好き。『いっしょくた』とか『ぬらんとした』とか。コミカルでサクサク読めちゃうけれども、奥深くて楽しい一冊。2022/08/18