内容説明
さあ今日も、ささやかなおそうざいを一生懸命こしらえましょう―女優業がどんなに忙しいときも台所に立ちつづけた著者が、日々の食卓の参考にとつけはじめた献立日記。その行間からは一本芯の通った生活ぶりがうかんでくる。工夫と知恵、こだわりにあふれた料理用虎の巻。
目次
食と生活
わたしの献立日記
献立日記・一冊め(昭和41年4月~42年2月)
献立日記あれこれ
献立日記・三十冊め(昭和63年1月~9月)
季節の食卓十二ヶ月(昭和47年・51年・57年・61年の献立日記より)
著者等紹介
沢村貞子[サワムラサダコ]
1908年(明治41年)東京・浅草生まれ。女優。本名大橋貞子。日本女子大学在学中に築地劇団に参加。前衛演劇運動に加わって投獄を経験する。34年に映画女優としてデビュー。幅広い役柄をこなす存在感のある女優として評価が高く、舞台、テレビも含め名脇役として活躍。文筆業にも長け77年『私の浅草』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。96年(平成8年)没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
105
エッセイをたいへん楽しく読んだ。まさに私ごのみ。平松洋子さんや森下典子さんのエッセイにも通じる面白さだ。と思ったら解説は平松洋子さんが書いていらっしゃる。嬉しいかぎりである。嬉しいといえばカバーの絵が安野光雅さん。贅沢だなぁ。ただレシピがないのは残念。しかし、沢村さんご自身が日々の献立のみ記され、レシピを残していらっしゃらないのだからこれは仕方ないことと料簡しなければならない。沢村さんのレシピではないけれど飯島奈美さんが沢村さんの献立日記をもとにしたレシピを本にしていらっしゃるのでそちらを読むことにする。2021/12/04
あつひめ
51
女優さんでも毎日食事を作るのかぁと驚き、そして最近の女優さんたちのネットに上がる生き様よりも真実味を感じた一冊。一つずつ献立を見ていくと歳を重ねるごとに好みも変化する。当たり前かもしれないけど体の不思議を思う。一口メモや献立のあれこれを読むと真似をしたくなる。我が家も老人との同居で献立に悩むけど、サラダ一つでも組み合わせを変えるだけでマンネリ化していないマジックを見せられたようで。早速今朝から真似してしまった。筋の通った生き方をされていた沢村さん。とても素敵な生き方をした女優さんだと憧れた。2021/10/15
Apple
46
とても素晴らしい本でした。沢村貞子さんが大学ノートに二十数年間記録した献立がひたすら掲載されている章があって、誠に圧巻でした。毎日の献立が、とても優れた資料となり、またある種の文学ともなっているように感じました。また沢村さんの食についての随筆を読んで、日々の食事に真摯に向き合うことでこんなにも幸福感に溢れた生活になるものかと驚きました。この本にあるような素朴だけど奥ゆかしい食生活を営むというのはとても難しいことだと思いました。しかし、やっぱり出来合いのものでなく自分で献立を立てる機会を持ちたいと思いました2022/06/11
オレンジメイツ
46
沢村貞子さんの記憶はあまりないけれど、写真からも品の良さが伝わってくる。お忙しい身であったろうに料理に向き合う姿勢は丁寧で誠実。梅酢は私も作ってみたい。2021/03/19
ゆゆ
38
26年に渡る家庭での献立を記した日記。合間のエッセイや、平松洋子さんの解説から、沢村貞子という女優さんの地に足のついた芯のしっかりした人となりが伝わる。年末から松の内が明けるまで、家族と過ごすことを優先し、仕事上のおつきあいを一切断った話や、どんなに忙しくてもちらし寿司を作っておく(そのために前もって寿司の素を作っておくという…)話など、とても印象的だった。装飾品はいらないから、ただ食材だけはちょっと贅沢をする、という姿勢に伺える彼女の背筋の伸びた感じが本当によく伝わってくる一冊。2018/06/15