中公文庫
シリーズ日本の近代 逆説の軍隊

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  • サイズ 文庫判/ページ数 390p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122056725
  • NDC分類 392.1
  • Cコード C1121

内容説明

捕虜虐待や非戦闘員殺害、終戦時の森師団長殺害など、ファナティックで特殊なイメージの強い昭和の日本軍だが、明治時代の北清事変や日露戦争では軍紀の厳正さと国際法遵守で高い評価を得た。この変容は何が原因か。様々な逆説を内包する日本軍の謎を「近代化」と「成長」をキーワードに解明する。

目次

プロローグ―解体
1 誕生
2 成長
3 爛熟
4 変容
エピローグ―自壊

著者等紹介

戸部良一[トベリョウイチ]
1948年、宮城県生まれ。76年、京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。防衛大学校国際関係学科助教授、教授を経て、2009年より国際日本文化研究センター教授。専攻は日本近現代史。博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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nnpusnsn1945

14
加藤陽子氏が書評を書かれていたので、関心を持って手に取った。日清、日露戦争では軍紀は保たれていたらしく、義和団事件も掛け軸を盗む兵を除いて厳正であった。しかし、シベリア出兵から目的なき拡大ゆえに軍紀弛緩が目立ってしまった。後の日中戦争でも同様の事態を繰り返してしまったのはなぜだろうか。ちなみに、大正時代は軍人が民間人から見下されていた時代であることも知った。軍は市民を守らないと述べる者もいるが、職業軍人からすれば逆に自分たちをひどい目に合わせた挙句手のひら返しをする人間を大切にするだろうか。2020/10/09

さとうしん

14
近代日本の軍事というか軍隊通史。本来は軍の政治的中立性、軍人の政治不関与を保証するためのものだったという統帥権の独立、軍部への政党の介入を予防するために導入された軍部大臣現役武官制が、「最初の意図をはるかに超えて作用する」さまなどを描く。終盤の、日中戦争以降の軍紀の弛緩が、戦争の理念や目的がなかったことによるものではないかという指摘が重い。2018/08/09

MUNEKAZ

11
日本軍、なかんずく陸軍を中心とした通史。誕生から敗戦による崩壊までを、その内含する問題点とともに明快に描いている。士族から国民軍への脱皮するための「統帥権独立」。総力戦での不利を補う上での「精神力重視」。兵士の忠誠心を涵養するための「国体論」。その時点ではベストな選択と思えたものが、軍の成長とともに足かせとなり、自壊に繋がっていく。巨大な官僚組織となった陸軍には、組織防衛の本能から抜本的な自己改革はできず、それが出来たはずの天皇や政党には、意欲や実力が欠けていた。リーダーなき軍隊の末路がここにある。2022/11/30

Happy Like a Honeybee

7
制度はつくられた最初の意図をはるかに超えて作用する。 名著、失敗の本質の作者による一冊。二流国だった日本軍が、太平洋戦争で自壊するまでを描く。現代社会の組織論としても参考になる。危機的状況に陥った際でも、リーダーシップを発揮する指導者を誕生させない土壌。セクショナリズムで各部署の利益を最優先にする。希望的観測で自己を過大視する風潮。責任を回避する事勿れ主義。行政機構の弊害が戦争の被害を更に大きくしたと言えよう。2016/11/27

八八

3
戸部良一の著作である。「逆説」というワードを軸に旧軍、特に陸軍の誕生から崩壊までを扱う。最初のプロローグは8月15日の宮城事件からである。通史として良くまとまっているが、詳しい人には物足りないかもしれない。ただ、あくまで読んだ個人の感想としては明治は良いが昭和はダメだったというような雰囲気が漂っている感じはした。2018/04/28

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