内容説明
十二年前のある朝、魚貫めぐるは公務員試験を受けに行く途中で突然の雨に降られ、立ち往生していた。バスやタクシーは滅多に通らない道で、傘も携帯もない。考えられる解決策は三つ―もしあの日、別の方法を選んでいたら、どんな人生を送っていたのだろうか。
著者等紹介
山本甲士[ヤマモトコウシ]
1963年生まれ。96年『ノーペイン、ノーゲイン』で横溝正史賞優秀作を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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相田うえお
131
★★★☆☆ 就職試験で駅に行く途中に急に土砂降り。どうする?走って駅まで行くか?雨があがるまで雨宿りか?逆方向にあるタクシー屋に行くか?さてどの選択をしようか?という各選択毎の短編になっている作品です。選択によってはその後の人生がこんなにも変るのか?と考えさせられる作品でした。そういえば昔、ロールプレイングゲーム的な小説ってありましたよね。あるところまで読み進むと選択肢があって①を選んだ人は○ページに!②なら○ページに...とか所々にあって、人それぞれで違うストーリーになるっていうやつ。2016/08/12
みっこ
51
公務員試験を受けに行く途中、突然大雨に降られためぐる。駅まで走るか、様子を見るか、タクシー会社まで戻るか…。各選択肢を選んだ結果を描いた3つのお話。着眼点が面白い!自分でも、あの時別の道を選んでいたらどうなっていたかな?なんて思うことがあるので、とても興味深かったです。でも同じ人間である限り、根本は変わらない。3人のめぐるが紆余曲折を経て、一つの『やりたいこと』にたどり着くのがまた面白かった。人の運命は、ある程度決まっているものなんだろうか?一つ一つの選択と、歩いてきた道を大切にしたいと改めて思いました。2015/05/17
にいにい
44
山本甲士さん8冊目かな?「どろ」「かび」「とげ」といった巻き込まれ型小説好きだなぁ〜。中でも「とげ」が一番。あと、「ひなた弁当」も良かった。今回は、人生の分岐での迷いがテーマ。市役所への就職試験に向かう女学生が3通りの選択肢から一つを選んだらどうなるのかを3回繰り返す。なかなか興味深い展開だ。でも、どの選択も主人公の思いに対して得られるものは.....。作中で創られる童話の出来は、それほど涙を誘わられなかったけど、おじいさんのキャラは、いい。続きがもう少し欲しかった。分岐で悩んでる人に読んで欲しい1冊。2014/04/24
とりあえず…
39
誰でも何度でも通りすぎる人生の分岐点。ありますよね?あの時、あっちを選んだらどうだったろう?リアルに想像してみたことありませんか?私はあります。無論、自分の都合のいいようにしか想像しないんですけどね(笑) ま、そういうお話です。 前にも書きましたが、再度書きます。あまり認知度の高くない山本さん(←大変失礼ながら)ですが、この方の本は元気が出るんです。つまり、結構気になるお方なのです。2014/04/18
はつばあば
36
人生の分かれ道とまではいきませんが、あらゆるところに分かれ道があります。どれを選択するか・・。お酒が入った身に、自分で運転もしくはタクシー。たった些細な事で周りの人の人生までもが狂う。あの時ああすれば良かったとか、忠告を聞いてれば良かったとか。人生は一度限りだけれどやり直しも効く。終焉を迎えるまで後悔のない選択肢を選びたいものです。2014/08/24