内容説明
艶冶な容姿とこの世の人間以上に優しい心根で、男をとりこにしてしまう冥界や異類の女たち―。男と女の、はかなく不思議な交情が織りなす中国的妖美の世界を、端正な筆致でよみがえらせる十二篇。
目次
美しき狐
侠女
幽霊なんかこわくない
公孫九娘
西湖公主
幽霊塾の人たち
阿英という女
霍女変幻
雲蘿公主
神女
黄英とその弟
錦瑟と春燕
著者等紹介
陳舜臣[チンシュンシン]
1924(大正13)年、神戸に生まれる。大阪外語大学印度語部卒業。同校西南亜細亜語研究所助手を勤めるが終戦によって辞職し、家業の貿易に従事。1961年、『枯草の根』により江戸川乱歩賞を受賞し作家生活に入る。69年、『青玉獅子香炉』により直木賞、70年、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』により日本推理作家協会賞、71年、『実録アヘン戦争』により毎日出版文化賞、76年、『敦煌の旅』により大佛次郎賞、89年、『茶事遍路』により読売文学賞(随筆・紀行賞)、92年『諸葛孔明』により吉川英治文学賞、93年、朝日賞、さらに95年、「作家としての業績」により日本芸術院賞をそれぞれ受賞する。日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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地雷原
5
サブタイトルは「妖怪談義」だが……違う。幽霊と結婚する。狐と結婚する。鸚鵡と結婚する。花とだって魚とだって結婚するよ! 異種婚姻譚ってこんなに無邪気で良かったんだっけ。もっと見るなのタブーとかあるんじゃなかったっけ。個人的にはOK。ちなみに『聊斎志異考』という題名もちょっと違う。考察というよりは註釈入りといった感じで、『聊斎志異傑作選・陳舜臣注疏』といったところか。訳本は読んでいたが、教わらなければ典故に拠っているとさえわからないことが、これほど多いとは知らなかった。先達はあらまほしきことなり。2011/07/10
ジジ
1
読みやすい。時代背景や語句の注釈など親切に分かりやすくつけてくれていて思わず唸ってしまいました。2017/03/14
6だ
1
清代の中国で書かれた怪異小説集「聊斎志異」全12巻の中から、1巻につき著者お気に入りの1話を取り上げ読み解していく。 「教養」というのは先人の叡智にどれだけ通じているかで測られる部分があるが、それを逐一解説するのは野暮というか、仄めかす・判る人だけ判れば良い的な風もあり、古典文学では故事成語未満の引用・形容の類は不明なまま読み進められる事も多い。 聊斎志異に記された各話も、そうした古書古文に典拠した記述が多々あるようで、それらに関する著者の解説が、数百年前の謎めいたお話の詳細を判りやすく伝えてくれている。2013/01/02
湯飲み猫
1
「考」というか、詳しい「訳」。当時の風習や、表現に関連する故事などが途中途中に挟まれていて、深い読み方を教えてくれる。載っているのは十二篇のみだが、とても丁寧な訳がされていています。読むと幽霊屋敷に引っ越したくなる一冊。2012/05/29
桃水
1
2012/04/13:聊斎志異より12編の物語を取り上げて、注釈や解説を行ったもの。2012/04/13