内容説明
些細な日常の出来事や着想から「霊感」を得、大きな一つの作品世界を構築していく作家・辻邦生の仕事ぶりを、半世紀を共にした夫人が彫琢の文章で綴る作品論的エッセイ集。
目次
『廻廊にて』『夏の砦』『安土往還記』
初期短編のころ
『天草の雅歌』『嵯峨野明月記』
『背教者ユリアヌス』
『ある生涯の七つの場所』
『眞晝の海への旅』ほか
『春の戴冠』
『フーシェ革命暦』
『銀杏散りやまず』『睡蓮の午後』
『西行花伝』
『小説への序章』ほか評論(リルケ 森有正 トーマス・マン)
『のちの思いに』ほか自伝的エッセイ
『美しい夏の行方』ほか旅のエッセイ
『手紙、栞を添えて』ほか読書エッセイ
音楽、美術、映画をめぐるエッセイ
アルバム、年譜、書誌など
著者等紹介
辻佐保子[ツジサホコ]
1930年愛知県生まれ。東京大学大学院美学美術史専攻博士課程修了。仏政府給費留学生、仏政府招聘研究員として渡仏。名古屋大学教授を経て、お茶の水女子大学教授を務める。名古屋大学、お茶の水女子大学名誉教授。82年『古典世界からキリスト教世界へ』でサントリー学芸賞受賞。著作に『ローマ サンタ・サビーナ教会木彫扉の研究』(地中海学会賞)他多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どんぐり長者
2
辻佐保子さんの訃報を新聞記事で目にして、ご冥福を祈る気持ちで、本棚に置いたままになっていた本書を読んだ。辻邦生の作品を愛好し、「安土往還記」「背教者ユリアヌス」「嵯峨野名月記」など発行と同時に読んだ世代であり、佐保子さんの専門の初期キリスト教美術、ロマネスク美術に惹かれていた私にとって、お二人はうらやましいカップルだった。辻邦生の関心や仕事ぶり、精神の彷徨が明かされ大変興味深かった。同時に、自らも専門分野で優れた業績を遺しながら、夫君を賢く、チャーミングに支えられた著者の人物にも触れることができた。2011/12/29
うなぎパン
1
辻邦生の作品を全く読んだことのない状態で読んでしまったため、ひとつひとつの作品を取り巻く状況などから「どんな作品だろう?」と逆に想像できてなかなか面白かった。 創作する人間には本当にミューズに愛されている人がいるんだな。 『ある生涯の七つの場所』を読んでみたい。2014/09/29
かずえ
0
全集の月報を文庫化したものだが、すっかり全集を読みたくなってしまった。背教者ユリアヌスと西行花伝だけでも読み返そうかしら。。。2012/01/11
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