中公文庫
古代ギリシアの女たち―アテナイの現実と夢

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  • サイズ 文庫判/ページ数 294p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122054189
  • NDC分類 367.231
  • Cコード C1122

内容説明

古代ギリシアのポリスの中でスパルタと並んで最強の国力を誇ったアテナイは、徹底した男社会であった。本書は、史料に記されたさまざまな事件を照射、検討することによって、繁栄の陰に隠され、抑圧の生涯を強いられたとされるアテナイの女たちの実態とポリス社会の実情を描く。

目次

1 女の地位について
2 選ばれた少女たち
3 女から妻へ
4 結婚
5 家付き娘の結婚
6 離婚
7 妻たちの生活
8 女たちの社会参加
9 非市民の女たち
10 女のネットワーク、女の文化

著者等紹介

桜井万里子[サクライマリコ]
1943年、東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専門課程修士課程修了。東京学芸大学教育学部教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授を経て、東京大学名誉教授。専門は古代ギリシア史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりお

45
古代ギリシア、アテナイの女性について。生まれから結婚、再婚、死ぬまで男の決めたルールに従わなくてはならない。とにかくアテナイの男は、女が何も出来ないように、何かをなさないように縛って決めつけた。その雁字搦めの中にも、細やかな女性達の個性が、色が歴史の中に残っていることは、彼女達個人がいた証になるだろう。2018/03/16

hiroizm

20
図書館で偶然見つけて読書。民主制とされる古代アテネの実態は、日本武家社会並みに「お家」大事の父系男子家族制の男尊女卑階級社会、女性は妻か遊女か奴隷として男性に依存するしかないことに驚愕しつつも、演劇など文学作品や当時の裁判の記録からギリシア人間像を推理するプロセスが面白く、読んで楽しい掘り出し物歴史本。ギリシャ悲劇から読み解く男女のイメージ対比は、場末の飲み屋に生息ダメおじさんの価値観に相通ずるところあるし、遺産相続裁判も現代でもありそうなことで揉めていて親近感をおぼえることも多々あった。2024/06/08

左手爆弾

5
古代ギリシアにおける女性観は複雑な層で成り立っていた。法的には女性はまとまった私有財産を持つことはできず、常に父親や夫などの男性の後見人の庇護に置かれていた。その一方で、ポリスの内部では女性が主体となった行事や祭などもあり、家事や奴隷たちの監督者としての役割もたしかにあった。本書は古代ギリシアには女性主体の史料が少ないという制約のもとで、制度と文化の両面から古代ギリシア、アテナイの女性たちの生き方に焦点を当てる。2019/12/06

karatte

5
古代ギリシアの女性に関する当時の文献は、悉く男性というフィルターを通してのものであり、その実像に迫るためには、法定弁論の一部や悲劇・喜劇内の台詞あるいは彼女らの遺した織物など、些少な断片の群れから間接的に垣間見るよりほかになかった。ジェンダー理論の発達した今こそ、改めて読まれるべき一冊。2012/01/29

seer78

5
内容は、エピローグ中の「民主政アテナイはメンズ・クラブであった」という言葉に尽きている。アテナイにおいて女性の社会的位置がある意味でそれ以前の貴族政時代よりも後退していたという指摘に驚いた。アテナイ以外のポリスの状況にも触れられていて、ゴルテュンというポリスで一部アテナイよりも女性に手厚い権利があるなどは面白い話。史料として、文学作品よりも当時の法廷弁論が多く引用されていて、男性市民がいかに自分の権利を主張していたのかが分かる。歴史上誇るべき民主政が強固な封建的社会に支えられていたことが理解できる好著。2011/08/23

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