内容説明
理性と夢幻、不安と狂気が綾なすポーの世界を、流麗な丸谷才一訳で再現。代表的傑作「モルグ街の殺人」「黄金虫」「黒猫」「アシャー館の崩壊」など八篇を収録。
著者等紹介
ポー,エドガー・アラン[ポー,エドガーアラン]
アメリカの小説家・詩人。1809年、ボストン生まれ。雑誌編集のかたわら詩や短篇小説を発表。史上初の推理小説、また怪奇ホラー、SF小説の傑作を残し、それらの分野の発展に多大な功績を残した。詩や文芸評論においても高い評価を受けている。1849年没
丸谷才一[マルヤサイイチ]
大正14年(1925)、山形県鶴岡市生まれ。東京大学文学部英文科卒業。小説、評論、翻訳、エッセイと幅広い文筆活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
101
ポーは推理小説と幻想小説のそれぞれの始祖と言われる。主にその推理の部分の作品集…ポーの想像したデュパンの振る舞いはシャーロックホームズを模造品に貶めるほどであって、その独創性において目を見張るべきものが在るといえる。ポー恐るべきで在る。2014/01/21
Tui
32
読み進めるほど箱の六面が狭まる感じ。解釈が、ロジックや物語の展開によって誘導されている感じ。そこから心地よさを得られない体質なんだなと知った。ミステリや推理ものをあまり得意としないのも、勿体ない気はするがこりゃ仕方ないなと。様式の美しさは感じる。けど、きゅうくつさが勝ってしまう。今回ポー全集を読むことで、図らずも自分の読書嗜好を改めて知る機会となった。文章によって世界があらぬ方向へ拡張されてゆく実感が好みなんだなと。(もはや全くポーの感想でなく、単なる気づきのメモです)2018/11/07
シタン
31
忘れもしない、かつてシタン少年に強烈な恐怖を植え付けた、知性と狂気の作家、エドガー・アラン・ポー。読んだ時期が悪く、嫌な記憶と結びついて軽くトラウマとなり封印していたのだが、ついにその封印を解くことに。かつては創元推理文庫のポー小説全集を読んでいたが、こなれた丸谷才一訳の本書でリハビリ。 有名な『モルグ街の殺人』を含むデュパンものの分析的知性にたじろぐ。今読むとデュパンもの以外も探偵がいないだけで本質的には変わらない気がするが。知性と狂気が混じっている。この胸に迫ってくるような言葉の力は一体なんなのだ。2020/05/17
Kouro-hou
29
丸谷才一訳、ポー短編集。代表作「アシャー館の崩壊」「黒猫」に「モルグ街の殺人」らデュパン3作、「黄金虫」、ミステリのパロディ的「犯人はお前だ」、掌編「スフィンクス」というミステリ寄りのセレクト。丸谷訳は昭和のがっしりした文学な感じで私的には好み。現代かな遣いで安心だよ! 締めに「アシャー館…」を持ってくる並びも好きですが、デュパン3作の並びが「モルグ…」「盗まれた手紙」「マリー・ロジェの謎」と発表順と違っている(132)のはどういう意味があるのかなー、と考えてしまいます。kindle版有り。2017/03/10
Fondsaule
28
★★★☆☆「モルグ街の殺人」「盗まれた手紙」「マリー・ロジェの謎」「犯人はお前だ」「黄金虫」「スフィンクス」「黒猫」「アシャー館の崩壊」「犯人はお前だ」「黄金虫」「スフィンクス」「黒猫」「アシャー館の崩壊」の13編の短編集。ポーの場合、ミステリーそのものを読むという感覚よりは、ミステリーやホラーの原型を楽しむというのに近い。2019/07/15