内容説明
かつて青年期に固有のものであった「モラトリアム人間」の心理構造は、今や社会的性格となった。日本人および日本社会の特質の解明のためのカギを提示する精神科医の日本診断。
目次
モラトリアム人間の時代
同一性の探求
会社の中のモラトリアム人間
モラトリアム企業論
中高年サラリーマンの心理
母親のモラトリアム人間化
宇宙時代のモラトリアム人間
現代社会の山アラシ・ジレンマ
情報化社会の病理
著者等紹介
小此木啓吾[オコノギケイゴ]
昭和5年(1930)、東京に生まれる。昭和29年、慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。専攻は、精神医学、精神分析学。慶應義塾大学教授、東京国際大学教授を歴任。平成15年(2003)没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぺ
4
本来は青年の成長のための猶予期間として在ったモラトリアム。それは半人前意識を伴い、禁欲を伴い、成長への渇望を伴う修行期間のようなものであったが、現代における新たなモラトリアムはその修行感覚が欠けてしまっている。かつてのモラトリアムを美化しすぎている点は鼻につくが、まあ的を射ていると思う。大学生には耳が痛い。2014/12/07
Ucchy
3
38年前の本だが全く古くない。モラトリアム人間=当事者意識のないお客さま的な人間、そういう人の心理、彼らのような人間がなぜ生じてきたかという社会的背景、さらに私も含め現代社会の構成員全てがモラトリアム人間化しているという。変化の激しい現代社会での生き方はプロテウス型人間になること。さらに情報化社会となった現代は「原光景の時代」であり、表と裏の使い分けはできない時代。過渡的な波乱もありつつ、社会は一層成熟していく。精神分析と社会分析がつながった面白い論考。2020/03/06
トムヤムクン
3
人間関係、政治、社会、多岐にわたり日本という国の発展はモラトリアムを作り出すという形で大きな影響を与えている。 多様性を重視するだけでなく、自分というものを支える大きな考え、指針を探さなければならない。 そして、人間関係が以前よりあっさりしているものになっているからこそ複雑で、より人間関係のことを考え、ちょうど良い距離を探らねばならない。2018/10/07
Yuki
2
半人前意識を伴う「古典的モラトリアムの心理」は現代では失せ、現代の日本(執筆は70年代)はモラトリアムが「社会的性格」にまでなり、組織に所属した後でも多くの人がモラトリアムの性質を持ち続ける社会になった、と。社会の富裕化、メディアの発達、位置づけの変化、など様々な外的要因があるのだとか。そう考えると「今の自分は仮の姿」という感覚を持つことは避けられないことで個人の責任に帰す問題ではないのかも。「最近の若いのは…」というのが愚の骨頂であるのは言わずもがなだが。2018/02/25
takashi1982
2
長年、精神分析学を講じた著者の代表作にして、今なおロングセラーを続けるのが本書である。心理学において子どもでもなく、大人でもない10代後半(から20代前半にかけて)を青年期とし、この時を「モラトリアム」として積極的な意義を見出したのはエリクソンである。この時期の発達課題はアイデンティティの確立にあり、それをクリアすることで成人期へと移行することが出来るのだ。著者はこの青年期特有のモラトリアムが時代状況の変化と共に、青年期に特有の現象ではなくなり、もはや現代社会に生きる人々すべてに共通するものだとする。続く2011/05/29
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