内容説明
雷お新、高橋お伝、夜嵐お絹など、幕末から明治前半期にかけて世間を騒がせた悪女・毒婦一七人の生涯を活写。失敗と逃走に明け暮れ、しだいに転落・敗残の淵へと追い落とされていく彼女たちの人生を、凄惨と言うよりもエネルギッシュに描き出す。
目次
雷お新
高橋お伝
夜嵐お絹
鳥追お松
島津お政
茨木お滝
今常盤布施いと
雲霧のお辰
花井お梅
権妻お辰
蝮のお政
幻お竹
斑猫お初
大阪屋花鳥
妲妃のお百
鬼神のお松
大経師小町おさん
著者等紹介
綿谷雪[ワタタニキヨシ]
1903年(明治36)和歌山県に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。劇作家真山青果の助手兼秘書、松竹演劇の演出家などを経て著作家となる。戸伏太兵の筆名で「天ノ川辻」「八幡大菩薩」などを執筆。1983年(昭和58)逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gtn
26
「浜町河岸箱屋殺し」の花井お梅。「堀江六人斬り事件」で養父に両腕を切断された芸妓妻吉、後の大石順教もそうだが、当時は加害者も被害者も生きるために寄席芸人になる例があったようだ。明治時代発刊の芸人名鑑にもお梅が登載されている。写真を見る限り、美人だが無表情。心を動かすのは懲りたと言わんばかり。「五十三歳で悲惨な終りを遂げた」とあるが、どのような晩年だったのだろう。2020/06/03
Foufou
11
悪女実録というより「毒婦物」と呼ばれた草双紙そのものの考証。作者は学者ではなく好事家で、博覧強記ぶりには舌を巻くが、軽妙洒脱か淫して煩いかは好みの分かれるところ。史実の面影留めぬ読物の概要を列挙するばかりだから、いずれも似通って食傷する。大衆に迎合すればさもありなんである。考証に徹する書き手の書物には小生かなり苦戦させられる傾きあり。雷お新が西郷従道と張り合う場面は出色だし、維新の頃に薩長の連中が花柳界で嫌われた話や人身売買禁止令の顛末など、本邦裏歴史を知る格好の書物でもあるわけだが、面白いかどうかは別。2020/11/02
犬養三千代
7
雷お新、高橋お伝、夜嵐お絹、鳥追お松、島津お政、茨木お滝、今常磐布施いと、雲霧のお辰、花井お梅、権妻お辰、蝮のお政、幻お竹、斑猫お初、大阪屋花鳥、妲己のお百、鬼神のお松、大経師小町おさん。誰が「悪女の」って??男と女。成り行き任せ、、ではない。女の意思 意地、見栄の集大成。2020/10/09
HANA
3
幕末から明治にかけての「毒婦」を集めた一冊。そのため代名詞のような「阿部定」は登場せず。一次資料が草双紙な為に、挙行と現実の境目が曖昧である。話を大きくするためジャーナリズムが付け足しをするのは今も昔も変らない。2010/06/10
fuchsia
1
幕末~明治期に流行した「毒婦物」というエンタテインメントのジャンルに登場する毒婦達の履歴とその後。幕府瓦解によって一時的にせよ女性が個人で生き抜く必要が発生したのが、こういった犯罪が増大した原因だとか。2010/05/30
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