内容説明
金陵一とうたわれた美女、禍水の相を浮かべる妖女、歴史に名を残した貴人の愛人…歴代の中国の都に、芳しく存在を漂わせる妓女たち。知性や美貌、忘れられない優しさや憎しみを抱えて鮮やかに生きる女たちの唇から、真実の想いがこぼれだす。妓女の恋と矜持を描いた珠玉の短篇集。
著者等紹介
井上祐美子[イノウエユミコ]
姫路市生まれ。神戸大卒。『長安異神伝』『桃花源奇譚』などで人気を博した後、本格的な中国歴史小説に取り組み、『桃夭記』で吉川英治文学新人賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なかなか
9
中国は明朝末期の娼館を舞台にした七篇。といっても、艶っぽくも湿っぽくもない。 妓女達の気風の良さと逞しさは、客の男たちが彼女らに比較的に対等に接しているからこそか。 いくらか綺麗事過ぎないかと思ってしまうけど、夜に煌めく娼館、纒足の妓女、お忍びで通う士大夫など大人のお伽話は楽しめました。2023/11/08
松露
9
一つ一つの作品に、どれもそれぞれの持ち味があって心に残った、中国の妓女達の物語を収めた短編集。閉じられた世界の中で生きる彼女達の生き様は、したたかで、そして切なく愛おしい。長編でも読みたいテーマ。2011/01/30
アイゼナハ@灯れ松明の火
8
中国の妓女たちをテーマにした短編集。こういう本読むと、男の方も粋なお客にならなきゃなぁと思ったりします。話は楽しいけど最後どこか切ない「玉面」、水滸伝とはイメージの違う李師師が主人公の「歩歩金蓮」がお気に入り。2010/04/29
Mana
6
公主帰還が面白かったので他も読んでみた。これも良かったので買ってもいいと思ったんだけど、調べたら絶版ぽくてショック。もったいない。 中国のさまざまな時代の妓女たちの物語。日本の花魁ものの小説でもそうだけど、こんな境遇でも、むしろこんな境遇だからこそ、芯を持って立派に生きていく姿が描かれるのが良い。2020/12/25
Mu@仔羊堂
6
歴史モノではない中華話を描く作家さんの中で一番好きな作者の妓女を主人公にした短編集。冒頭からストーリーテラーぶりに感嘆する。どのお話も最初の一行で時代も土地も離れた場所にすっと入り込ませてくれる。登場する妓女たちの生き方がどれもこれも印象的。ハッピーエンドは少ないけれど余韻があっていい。個人的には強くて頭のいい女性が好きなので3話の牙娘や4話の湘蓮はお気に入り。5話の李師師の一本筋の通った生き方もいい。そう、この物語に出てくる妓女たちはみんなどこか筋が通っているのだ。誇りや矜持と言ってもいい。それがいいね2016/11/17
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