内容説明
名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!?部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、姿なき犯人に立ち向かうが…。戦慄の本格ミステリー。
著者等紹介
今邑彩[イマムラアヤ]
1955年(昭和30)年、長野県生まれ。都留文科大学英文科卒。会社勤務を経て、フリーに。1989(平成元)年鮎川哲也賞の前身である「鮎川哲也と13の謎」に応募し13番目の椅子を『卍の殺人』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
362
今邑彩さんの7冊目は、クリスティー女史の世界的な名作「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品ですね。まあ本書も文字の大きさと1頁が15行という事も手伝ってアッという間に読み終えましたね。本作では原作の絶海の孤島というクローズド・サークルではなく女子高の文化祭で演劇部の生徒達による芝居が演じられる最中に起きる殺人劇で、芝居の筋書と順番通りに見立て殺人が繰り返されるというミステリーファンが泣いて喜ぶ魅力的な趣向ですね。終盤で二転三転の末に判明する意外な真犯人と隠された秘話のサプライズも用意され満足でしたね。2022/07/12
しんたろー
197
名作古典タイトルを捩った今邑さん作なので期待して…途中まで「単なるクリスティの現代版?」と思う展開だったが、中盤からは今邑さん色が強くなり、程よく捻りが効いた終盤も楽しめた。生徒たち、教師たち、刑事たち各々をキチンと描いてあるのでドラマ性を感じられるし「裁かれざる犯罪」をテーマに据えて完成度が高いオマージュ作になっている。登場人物たちが抱える闇も(好き嫌いは別にして)理解できるし、多くの人とが持っているであろう二面性を上手く表現しミステリに仕立てている。本筋に関係ないが若い刑事と彼女に「幸あれ」と思った。2021/07/07
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170
🌟☆☆☆☆。特筆すべきは大して集中力を要さずともサクサク進められる抜群の読みやすさ。コレに尽きると思う。逆に言えばそこしか褒めるトコロがない。設定説明科白の乱発。名前だけが違う無個性な被害少女達。なので全く興味を引かない連続殺人事件。馬鹿で無能な警察。稚拙でありきたりで後出しジャンケンな真相と動機。全てにツッコミを入れたら200文字では収まりきれない御都合主義。それら全てを包括している「私はこういうプロットと設定で小説を書いています。」というハリボテ感丸出しの著者の技術。久しぶりの空振り三振作品だった。2022/02/10
ALATA
168
初読み作家さん、タイトルに誘われて手にとる。名門女子高でクリスティの『そして誰もいなくなった』が上演、連続殺人の幕が切って落とされる。オリジナルと違ってクローズドサークルを女子高に置き換え、見立て殺人を上手く仕掛けているところに感心しました。裁かれざる犯罪を誰がどうさばくのか原作へのオマージュとしても納得です★4※獄門島、十角館、インシテミル、ジェリーフィッシュと数々の名作あれど、これもベスト。最後のホワイダニット「左手を見る人」には参りました…2023/11/02
NADIA
125
読友さんの評価がとても高かったので読んでみた。初読の作者。アガサ・クリスティのあまりにも有名な名作「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品だが、原作を踏まえて、その上でさらなるひねりが効いている。これは原作を知っていても犯人当ては難しいね。満足度の高さはうなずける。2019/02/03