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中公文庫
東京飄然

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  • サイズ 文庫判/ページ数 374p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122052246
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1195

出版社内容情報

風に誘われ花に誘われ、一壺ならぬカメラを携え、ぶらりと歩き出した作家の目がとらえた幻想的な東京。『婦人公論』好評連載の紀行エッセイ、待望の単行本化。著者によるカラー写真多数収載。

内容説明

風に誘われ花に誘われ、一壼ならぬカメラを携え、ぶらりと歩き出した作家の目にうつる幻想的な東京の情景。著者撮影によるカラー写真多数収載。

目次

自宅
早稲田へ
穴八幡
都電荒川線で
飛鳥山
王子まで
いざ、鎌倉か
慶西くんの車
雪ノ下
鶴岡八幡宮前〔ほか〕

著者等紹介

町田康[マチダコウ]
作家、ミュージシャン。1962年大阪生まれ。高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を始める。97年に処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年には「きれぎれ」で芥川賞を受賞する。01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞、08年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

めしいらず

57
いろんなことに難癖をつける。悪態を吐く。そのくせ正当性の主張も抗議もやり込められるのが怖くて自分に弁解しながら矛を収める。全ては主人公の内面の中だけの七転八倒。相手には唯々挙動不審なおっさんが目の前にいるばかりだ。だから侮られ粗雑に扱われ結局悶々の種をまた増やしてしまうのだ。俗を超越しようとするほど俗人ぶりが曝け出されていく。自分の才に勝手に期待しすぐさま絶望する。飄然に拘泥するあまり飄然からかけ離れていく。言ってることとやってることがまるでちぐはぐなマーチダ節は健在だ。この小人物ぶりは他人事でない。2019/09/21

chanvesa

29
いしいしんじさんとの『人生を歩け』の雰囲気が小説になったようだ。銀座の江戸っ子口調の店のオヤジは、いしいさんと歩いた浅草に出てくる、都市の自意識が乗り移っているかのようだ。『どつぼ超然』『この世のメドレー』より、こちらの僕あるいは俺のある種の諦念が、落ち着いていてしっくりくる。鎌倉や江ノ島を慶西君と訪れる様子は『阿房列車』のようだし、漱石の高踏趣味をこねくり回し、美術館に行っての絵の解釈は、その絵が何かわからないけど、面白い。なお、ポンヌッフで立ち食いそばを一回食べたことがある。2018/02/10

kazi

28
『旅に出たくなった。なぜか。理由などない。風に誘われ花に誘われ、一壺を携えて飄然と歩いてみたくなったのだ。』冒頭から、いいですね~。旅の始まりに最高の名文です。“一壺を携え飄然と”というところが、とても良い。ちょっと芭蕉の「月日は百代の過客にして~」を思い出しました。冒頭の一文から受ける印象と、内容のハチャメチャさのギャップにびっくり。本の帯とかカバーの後ろとかに「作家の目に写る幻想的な東京」みたいな文句が書かれていたが、本当にそんな内容か?どちらかというと“笑い”がこの作品の本質だと思う。非常に笑えた。2021/04/01

更夜

21
不眠症で眠りたくても、眠れないように「飄然」としたくても、ついあれこれ屁理屈を考えてしまう頭の中。なかなか余裕に飄然なんてできるものではない、ということがよくわかりますし、飄然としてる、なんて他人から言われるもので自分で言うのはおかしい、と思いつきました。串カツ一本の後悔から東京に帰ってきてリベンジしようと思っても・・・ああ、日曜昼間の新橋なんてどこもお店やってないのに。夏目漱石気取って芸術に超然としようと美術館に行ってもあらら。ロックを感じに高円寺に行って沈没。飄然じたばたが書けるのは町田さんだけ。2015/10/20

Katsuto Yoshinaga

18
「通信販売で磁気腹巻と紅芋チップスを注文してしまった。冷蔵庫に食べかけのチキンが入っている。それをそのままにして飄然、旅に出るのは許されない。社会人として」なんてことを宣い乍ら、「現地で飄然と酒を飲んだり、飄然と芸妓に惚れたり」しにいってしまう。飄然と上野美術館に赴き「男が妻子を捨て浮気相手と遊びに行くという愁嘆場にしかみえなかった」と評する。もう、面白くってたまらなかった。ああ、町田康のような文章が書けるようになりたいものだ。写真家鬼海弘雄氏による「東京悄然」と題された解説も、これまた良い随筆であった。2021/04/07

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