出版社内容情報
家庭ある脚本家と女流詩人は、庭の桂の木をポスト代わりに手紙のやりとりをはじめた。幻の恋の一部始終を、四季の移ろいとともに紡ぐ、仮想の往復書簡。
内容説明
家族のある脚本家と女流詩人は、庭の桂の木をポスト代わりに手紙のやりとりをはじめた。男は恋のけじめに迷い、女は二人の時間に心を寄せていつくしむ。移ろう季節をともに歩む秘密の二人の恋が、行間から浮かび上がる仮想の往復書簡。
著者等紹介
俵万智[タワラマチ]
1962年、大阪府生まれ。歌人。早稲田大学第一文学部日本文学科卒。86年、「八月の朝」で第32回角川短歌賞受賞。87年、第一歌集『サラダ記念日』出版、同書で翌年第32回現代歌人協会賞受賞。2007年、歌集『プーさんの鼻』で第11回若山牧水賞受賞。04年、『愛する源氏物語』で紫式部文学賞を受賞した
荒木とよひさ[アラキトヨヒサ]
1943年、旧満州・大連生まれ。作詞家。日本大学芸術学部在学中より、デビュー作「四季の歌」をはじめ「哀しみ本線日本海」「つぐない」「時の流れに身をまかせ」「恋唄綴り」等ヒット曲多数。近年はその他に、イメージソング・社歌・音楽制作プロデュース・ラジオパーソナリティ・講演・ライブ活動・ナレーション・エッセイ・等で活躍。初劇映画監督作品『いつかA列車に乗って』は、日本映画批評家大賞で監督賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
259
歌人の俵万智さんと作詞家の荒木とよひささんによる、往復書簡形式のフィクショナルな恋文のやりとりを構成したもの。散文形式によるものの一種の相聞歌といった趣き。妻子ある男(荒木)と、不倫関係にある詩人(俵)という設定。俵万智さんの私生活がある程度知られているだけに、結婚をめぐる両者の想いなど、結構リアリティがある。一瞬、あの子の父親はこの人だったのかと思ってしまうほど。ただし、相方の荒木さんの手紙は、歌謡曲の節回しなど俗っぽい表現がしだいに多くなり、回を重ねるごとにそのリアリティが薄れて行くのは残念。2013/03/27
やも
75
53歳の脚本家の男。36歳の詩人の女。2人の往復書簡が紡ぐストーリー。なんでもないことを話したくなる、聞いてもらいたい、聞かせて。実際にこうなれる関係の相手にはそうそう出会えない。(これ私読んで大丈夫?大切な人に宛てた、大切な手紙なんじゃないの?他人の私が読んでいいの?)なんて思ってしまった😅覗き見をしてしまったような、少々居心地の悪さを感じてしまう生々しさがあった。恋とはするものではなく、堕ちるもの。作中の2人は一緒に墜ちてたね。やっぱりサラダ記念日が読みたいな🥗★2.52022/03/08
ひろちゃん
72
大人の恋を二人の文通を通じて、描いている作品。手紙の内容がまさに詩。不倫なんてすごく馬鹿馬鹿しいと個人的に思っていて、不倫相手も奥さんもそそのかす男の人最低と思っていたけど、この作品に出てくる男女の恋は二人の才能ある歌人が書いているからか純愛に見える。また読みたいです。2015/10/17
ピロ麻呂
27
妻子ある男性と独身女性が交わす恋の往復書簡(≧▽≦)俵万智やけど、短歌はほとんどなく、ポエム中心の素敵なラブレターでした(^^) 文章で綴られる愛する気持ち…季節の移り変わる中、ふたりの恋は変わらずにいて欲しいものです(≧▽≦) 2015/12/08
虹色
12
荒木さんが、妻がいる脚本家(52歳)を、俵さんが女流詩人(36歳)を書く仮想恋愛での往復書簡。好きな歌人の俵さん、「秘密の二人の恋」を期待していたが、思っていたのとは少し違っていた。手紙の内容が相手を思いやる優しい気持ちで溢れている。どちらかというと年の離れた世代の違う恋人のような感じ。不倫であろうが、恋する気持ちは変わらないということなのか。二人が書く文章は美しく、それぞれのエッセイのように人生観が顔を出す。「もし」を封じ、「誰にも恥じることはない」とする女の潔さに返す言葉はあっただろうか。2018/08/24