出版社内容情報
七人の絞首刑を含む被告二十五人全員有罪という苛酷な判決。「文明」の名によって戦争を裁いた東京裁判とは何であったのか。〈解説〉日暮吉延
内容説明
昭和二十一年五月三日に開廷した極東国際軍事裁判は毎回波瀾をきわめた。苛烈な立証合戦の末、昭和二十三年十一月十二日、七人の絞首刑を含む被告二十五人全員有罪という苛酷な判決で、歴史的な大裁判の幕は閉じた。「文明」の名によって戦争を裁いた東京裁判とは何であったのか。
目次
第8章 弁護団の反撃
第9章 南京虐殺事件
第10章 天皇の戦争責任
第11章 判決
第12章 DEATH BY HANGING
著者等紹介
児島襄[コジマノボル]
1927年(昭和2)、東京に生まれる。東京大学法学部卒業。共同通信社記者を経て、戦史家。日米双方の資料渉猟・取材に五年を費やして書き下ろした『太平洋戦争』は、軍隊経験のない世代によって書かれた戦争史として、その緻密な考証、劇的描写が高く評価され、66年(昭和41)に毎日出版文化賞を受賞。90年(平成2)に近現代史研究・著作活動によって菊池寛賞を受賞。2001年(平成13)、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しわじい
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176p 被告たちは午後五時半過ぎ、市ヶ谷から両国の米陸軍第三六一野戦病院にむかった。(中略)重光元外相が眼をこらすと、広田元首相の次男正雄と二人の令嬢が立ち、ハンカチをふっている。広田元首相も気づいた。(おお)と、声にならぬ叫びをあげるように、はっと口をあけた広田元首相は、席を立つと向かい側の荒木被告の前に立ち、その肩ごしにのりだして窓をつかみ、必死に帽子をふった。その様子は、静かなる広田君の平常からは想像できぬほど、「気も狂わんばかり」であった―と重光元外相は記述する。 2012/07/18
ペインター
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弁護団の反撃から絞首刑で終わる。戦争責任を問う国際法はない。しかし敗戦国なので戦勝国の判決をうけねばならない。弁護団は形式的なものにすぎない。天皇の戦争責任を忠実な臣下が責任を取ったということではないか?というのは私の個人的な意見ですが。本書読んで、事実を語らしめようとする著者の態度の重さがずしりと手ごたえをもって迫ってくるのにきずかずにはいられない。2021/09/25