内容説明
第一次世界大戦に乗じて、日本は大陸への野望を着実に実現しながら躍進をとげ、未曾有の経済的繁栄を迎える。だが、国力増強の裏で深刻化してゆく社会矛盾は民衆の政治意識をめざめさせ、世論は沸騰する―。デモクラシー運動の芽生えと発展を通して描く大正の特質。
目次
閥族打破の叫び
第一次大戦の勃発
大戦景気と貧乏物語
白樺派の周辺
寺内内閣とシベリア出兵
民本主義と米騒動
一等国日本
平民宰相・原敬
小市民階級の登場
労働運動の曲折
ゆらぐ地主の座
ワシントン体制と日本
無産階級運動の方向転換
関東大震災
摂政狙撃
普選と治安維持法
大都会と大衆文化
アジアの民族革命と日本
著者等紹介
今井清一[イマイセイイチ]
1924年(大正13)群馬県に生まれる。45(昭和20)年9月、東京帝国大学法学部政治学科卒業。47年、同大学大学院に入学、原田熊雄述『西園寺公と政局』の編纂に当たり、日本現代史の研究を深める。52年より横浜市立大学文理学部に勤め、退職後同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
111
大正デモクラシーとはいうものの明治の状況と比較してということなのでデモクラシーといってもかなり条件付であると感じました。まだまだ元老とくに山県有朋の影響力は大きく、海軍の中でも長州閥や薩摩閥入り組んでの勢力争いもあったようです。それでもこの時代は短かったせいかあまり注目されませんがこの1冊で十分に分析してくれているのは史料価値として大きいと思いました。2015/12/01
kenitirokikuti
11
図書館にて。前回読んだときの関心は、人民闘争史ないし民衆運動史だったらしく、米騒動に関するところを抜き書きしていた。今回の読書は昭和史・戦後社会から戦前社会を振り返るという反対の向きからである。23巻大正デモクラヲシー、24巻ファシズムへの道、25巻太平洋戦争の3冊をおさらいした(特にこの2006年改版解説)。戦後の政党人らは政党政治に重点を置き、安保反対した人民/民衆派はそちらを向く。本書は加えて国内で完結する見方ではなく、他国との関連を重視する。具体的には、関東大震災での朝鮮人虐殺などの扱いに特徴あり2024/08/17
長谷川透
8
頁数は多いが良書である。僅か15年しかない時代にこれ程頁数を割く必要があるのかと思うかもしれないが、とんでもない、日本の近代史を語る上で最も重要な転換期が大正時代なのだがら、これだけ頁数を使うのは必至なのだ。大正を学びながらこの時代に現代の相似の影を見た。列強からの圧力により止むを得ず近代化を果たした日本国家は、藩閥主導による政治を廃し人民による政治を標榜する。しかし近代化、民主化の流れに国民は乗ることができていたのだろうか、大いに疑わしい。未熟な国民の手による民主主義は結局のところ為政者の掌の上にある。2013/04/28
訪問者
4
改めてこの時代を見ていくと、米騒動に見られるように多くの農民一揆や労働争議が起こっている。権力への異議申し立てというよりも、多くは生活難からの止むを得ない行動だったのだろうが、現代とは隔世の感がある。関東大震災、治安維持法と時代は次第に閉塞感を強め、その中で芥川龍之介の自殺が語られる。2023/02/03
あしお
4
扱う時代は大正時代。日本の歴史も現代に近づくにつれて読むのが辛くなってくる^_^;。シベリア出兵とか、対中21箇条とか、日本が増長してる感が強い時代だ。読んでいて感じたのだが、日本は江戸時代に不平等条約を結ばされて、それを克服したが欧米への被害者意識が残っていたのではないだろうか。それが中国への過酷な態度になったと思う。とすると現代の中国もまた、先進国になったとはいえ、過去の列強に対する被害者意識から膨張路線をとっているのかもしれない。そんな事を感じた。2021/01/08
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