出版社内容情報
四季三六五日、美味を求めて旅し、実践的料理学に生きた著者が、東西の味くらべはもちろん、その作法と奥義も公開する味覚百態。〈解説〉檀 太郎
内容説明
料理の達人が、大きな味の宇宙に描き出す百味百態。四季三六五日、美味を求めて旅し、実践クッキングに生きた著者が、東西の味比べ、その作り方、奥義を公開する痛快な一冊。
目次
春(七種ガユ、アズキガユの故事来歴;イノシシを喰ったフランス美女 ほか)
夏(砂丘のほとりの味と匂い;太宰治に喰わせたかった梅雨の味 ほか)
秋(信越国境に新ソバの妙味を訪ねる;名歌手に囲まれ「サボイ」の夜は佳なり ほか)
冬(雪間近い北国の香魚・玄魚;ジネンジョは美しい処女の素肌 ほか)
著者等紹介
檀一雄[ダンカズオ]
1912年、山梨県生まれ。幼年期を九州柳川で過ごす。東京大学経済学部卒。在学中の1933年、小説『此家の性格』を同人雑誌「新人」に発表。太宰治、坂口安吾らとともに文学活動を始める。1937年、処女作品集『花筐』を出版。1944年に報道班員として中国戦線へ。同年、『天明』で、野間文芸賞受賞。1950年『リツ子・その愛』『リツ子・その死』を出版。同年、『長恨歌』『真説石川五右衛門』で、直木賞を受賞。1976年には『火宅の人』で読売文学賞受賞。同年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
川越読書旅団
21
流石料理家?の壇先生。様々なレシピが春夏秋冬に区分され先生の小気味のいい文体で描写されるエッセイ的作品2023/08/05
佐島楓
16
食に対する貪欲さに驚かされ、あっけらかんとした文章に引き込まれ、薀蓄の豊富さに舌を巻く。ご自分でお料理なさっていただけあって、描写が美味しそうです。太宰治とのエピソードもありますよ。ごちそうさまでした。2011/09/04
Lucy_0828
2
「いつの日にも、自分に吹き募ってくる天然の旅情にだけは、忠実でありたい」という言葉があって、つくづく「旅」なんだな、と思った。百味ってもちろん世界漫遊の中の各国の味なのだから。2014/05/30
hexia
1
酒と友をこよなく愛した著者の人柄がよく出たエッセイ集。自分で食事を作らねばならなかった戦前・少年時代、碌なものも食えず大陸をさまよった戦中・兵隊時代、復興成り居ながらにして世界中の美味いものが食えるようになった戦後・壮年時代と、日本の歴史を体感した著者の一代記でもある。美味いものの記憶だけではなく、昭和・高度成長期の雰囲気を味わうこともできる美味しい本。2013/09/19
Roti
1
酒と料理をこよなく愛し、生涯漂蕩を続けた壇一雄。身土不二という言葉があるが、酒も料理もその環境と自然、文化が産み出したものであり、その土地で最も美味しく食べれるように発達してきた。美味しいものを旬にその土地で食らう。至上の快楽と言える。作者はいう。『人間が動物の間から立ち上がって、際立った体格と智能の優位を形づくってきた素朴で重大な原因は、雑食の限りを尽くし、料理の粋をこらしたということにあるだろう。』 そして厨房に立つ身である。2013/07/13