出版社内容情報
江戸幕府の体制が固まり、もっとも平穏な日々がつづく。江戸の町々は活気をおび、江戸八百八町を中心とする華やかな元禄文化が花開く。〈解説〉大石学
内容説明
江戸幕府の組織が確立し、安泰な家綱・綱吉の時代がつづくなかで、由比正雪の乱、赤穂浪士の討入りが人々の耳目をひく。町人は華やかな元禄風俗を生みだし、西鶴・近松・芭蕉らが輩出するが、一方では身分制や封建道徳がしだいに固まり、独裁政治の弊害は深まる…。
目次
由比正雪の乱
明暦の大火
旗本奴と町奴
江戸八百八町
夜の世界、新吉原
殉死の禁
東廻りと西廻り
天下の台所、大坂
犬公方
湯島の聖堂と貞享暦
忠臣蔵
窮乏する財政
元禄模様
絵の世界と侘の境地
一代男と曾根崎心中
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
80
元禄時代ということで、最初に由比正雪の乱、明暦の大火などが書かれていてそのあとで江戸八百八町や新吉原などなど時代小説でおなじみの場所などが出てきます。やはり江戸時代の庶民の文化が花開いた時なのでしょう。忠臣蔵などについても書かれています。絵では光琳、俳句の芭蕉、好色一代男、曽根崎心中などもこの時代です。2015/09/05
珈琲好き
9
初期江戸のヨハネスブルグっぷり/日本で最も権力をエンジョイしたのは綱吉だろう/営業税所得税が(ほぼ)ない都市って凄い社会実験だな2016/06/24
穀雨
5
テーマとなる時代柄か、江戸の町人の暮らしや吉原など、社会・文化面に重点が置かれ、文体も小粋な印象を受けた。ただ四代家綱の時代にはすでに幕府の財政難がはじまっていたなど、のちの時代に通じる負の部分もみえる。それから200年以上、慢性的な赤字に苦しみながらもよくもったなというのが正直な感想。2021/03/14
あしお
4
着々と読み進めています。学生の頃は江戸時代の勉強は実に退屈だったけど、今読んでみると、現代の文化、経済のルーツと思えるものがたくさんあると分かる。若い頃、インドやトルコに旅行して、一々値段交渉するのが面倒だった。同時になんで日本では値切るって事をあまりしないのか疑問だった。一つには越後屋の「掛け値なし」の商法が浸透したせいかも知れない。 徳川綱吉って人は強烈な個性の将軍だが、考えてみれば、足利時代の将軍の方が個性(というかワガママ)が強い。それで治ってしまうのはそれだけ社会制度が成熟したということか2020/10/02
さんとのれ
3
戦乱がなくなることで武士より商人の存在感が増し、文芸などの娯楽が発展する。ここまで来ると、歴史というよりももっと身近な話に感じる。2015/02/16