出版社内容情報
足利幕府の力弱く、暗殺、一揆、叛乱、飢饉がうち続き、ついに応仁の乱に突入する。下剋上の風潮地をおおい、まさに乱世のきわみといえる時代の姿。
内容説明
守護大名の将軍殺害にはじまり、応仁・文明の大乱、山城の国一揆にいたるこの時代は、西欧のルネサンスと宗教改革に比肩される日本歴史上まれにみる活気あふれる世紀であった。この激動の百年を国人・地侍、商人・百姓らの新勢力に焦点をあてて明快に描き出す。
目次
東国の動乱
将軍殺害
土一揆の隆起
自検断の村々
有徳人の活躍
海賊衆と勘合貿易
京中の餓死者八万人
悪政と党争
応仁・文明の大乱
下剋上の怒涛
東山山荘とその周辺
流亡の貴族と僧侶
町衆と郷民の哀歓
蓮如とその教団
山城の国一揆
“乱世”の国家像
著者等紹介
永原慶二[ナガハラケイジ]
1922年(大正11)、中国大連に生まれる。44年(昭和19)、東京帝国大学文学部国史学科を卒業。同大史料編纂所を経て、一橋大学教授、日本福祉大学教授、和光大学教授を歴任。一橋大学名誉教授。2004年(平成16)7月、逝去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
59
永原慶二先生の本は以前に日本経済史を読んでかなり読みでがあったことを思い出しました。この本も同様に民衆の動きが中心に語られていて、また多面的に分析されています。下克上の時代ということで、安定した時代とはいえないのでしょうが、それでも民衆の力などによる文化は廃れていない気がします。このシリーズは本当に読みでがあります。2015/06/22
Book & Travel
41
十巻は室町中期、義持から義政の時代まで。最近の室町ブームがなければ、英雄なき混沌とした注目されにくい時代である。このシリーズの情報量にはいつも圧倒されるが、その中でも本巻は読みやすい印象。東国の争乱や応仁の乱など動乱が続く中で、幕府は次第に国を治める力を失い大飢饉にも対処できない。そんな中で、惣や土一揆など存在感を増す各地の小領主や民衆の実態が克明にわかりやすく書かれ、とても興味深く読めた。天皇、貴族、武家貴族(源➡足利)と続いてきた為政者の歴史が終わりを迎えつつある時代のうねりを感じる巻だった。2018/07/24
てつ
40
下剋上の時代というよりそこに至るまでの身分構成の変化、特に民衆の力が劇的に増大した時代の話。室町は人名が分かりにくいのと応仁の乱が訳わからないのでとかく軽視してしまう傾向にあるが、実は重要な時代。2020/11/13
umeko
14
「応仁の乱」に代表されるような、マイナスイメージの時代だと思い読み始めたが、これが面白かった。新しい時代を迎える熟成期間とあるように、そのエネルギーを感じた。2017/07/17
あしお
7
本とは関係ないのだが20年以上前、ある臨済宗の老僧に「これからは乱世だ。アンタは若いからこの乱世を生きていかなきゃいかん。可哀想だな」と言われた。続けて「いっそ出家しなさい」と勧められた。それがきっかけで出家したのなら、ドラマチックだがw。残念ながら、そういうわけではない。でもそれ以来「乱世」という単語はワシのテーマになっている。今は確かに乱世かもしれない。しかし、同じ乱世の室町時代は一面では成り上がりを目指せる活気ある時代だったとも見える。さて、今はどうだろう。2020/08/21