内容説明
たった一言の「約束」を果たすために…男たちは敢えて過酷な道を選んだ!池波正太郎「剣の誓約」をはじめとする、雄々しくも気高い、時代小説の豊饒なロマンの結晶を味わう、珠玉の十篇。
著者等紹介
縄田一男[ナワタカズオ]
昭和33年、東京都生れ。文芸評論家。専修大学大学院文学研究科博士課程修了。平成3年に『時代小説の読みどころ』で中村星湖文学賞、平成7年に『捕物帳の系譜』で大衆文学研究賞を受賞。大衆文学研究会、日本近代文学会会員
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感想・レビュー
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山内正
3
弥一郎は上尾への途中の月夜 木の側に女がいて一言話して草むらに隠れた 男達が来て女を知らないかと 桶川の芸者だと五十両持ち逃げたと 他へ行った後約束を守れない男なんかと付いて来た 俺は後家さんに可愛がれたがさっさと姿を消したさ 私は若旦那の祝言に暴れ込んでやる手を付いて謝んなきゃと涙声に 番頭が来て金持ちの我儘と思ってと 頭を下げた、これをと誓詞を渡す 今度は俺のような男にと 嫌なこったー2019/11/30
山内正
2
私が何とかするからと女中お滝が言う 宿柏屋に一人の男が入った 機嫌直し呑みなさいよ いい思いし 世の中嫌になったのかぇ そんな笑い方は 酔ってお休みなさいな 三日泊まったが金の無いのは分かってる 十年働いた金を取られて 店の金まで取ったと番頭に追出された お滝に金を借り宿を出たら 若い侍に膳所に行くかと これを届けて欲しいと包を渡され いざ膳所の家に伺い事情を話す 主は中身も見ず頭を下げ礼を言う 見ず知らずの俺を信じて こんな人も居るんだ 謝礼の包は重い こういう生き方しなくちゃいけねぇ お滝に会えてと2019/11/21
山内正
2
三番牢三枝出ませー縄がうたれ 馬で刑場へ強風が吹き火事だと知る 相対死じゃ無いと言い張ったが 非常措置を奉行所へ行かせたが 良きに計らえと返事が 帯刀は牢にも煙が吹き込み掛矢で 牢格子を破った一棟ニ棟と囚人を出し明朝戻るのだと三百人解き放った 三枝も馬から降り解き放された 屋敷に戻ると女はいた 庭で主が斬りかかり抜き打ちに倒した 明くる朝次々に寺に囚人が戻った 奉行所とは連絡が付かない そして三枝も戻った 奉行との約束 故にと 2019/11/12