出版社内容情報
占領下日本に君臨した一将軍の謎に満ちた個性と支配の構造を新資料で解明し、戦後史に新しい光を当てる。毎日出版文化賞受賞作。〈解説〉佐藤忠男
内容説明
ダグラス・マッカーサー、日本に進駐したとき既に六十五歳。余人ならば退役の身でありながら、占領下日本に君臨した男。連合国軍最高司令官の謎に満ちた個性とは何か。マッカーサーだからこそ成功した占領と民主化、そして日本人であったからこそ抱きしめた敗北―戦後史に新しい光を当てた著者渾身の力作。日本占領の理解に必須となる一冊。
目次
「オレンジ戦略案」の長い影
アイ・シャル・リターン
青い眼の大君
「解放軍」の虚実
勝者は裁く
法を与えるもの
「改革」をめぐる人間力学
神と人とに奉仕せん
「マイ・デア・ゼネラル」
「逆コース」という名の協奏曲
勝利に代るものなし?
老兵は消えゆかず
著者等紹介
袖井林二郎[ソデイリンジロウ]
1932(昭和7)年、宮城県に生まれる。54年、早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、同大学院政治学研究科修士課程修了後、59年から米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院で政治学を研究、65年帰国。専門はアメリカ政治論。76年、法政大学教授、99年、同名誉教授。2004年、政治学博士。『マッカーサーの二千日』で、大宅壮一ノンフィクション賞、毎日出版文化賞を受賞
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感想・レビュー
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yokmin
5
著者の分析は深く かつ冷静である。すばらしい。索引付きであるのもいい。P-117 「・・敗戦によってゲームのルールが変わり、これまでの滅私奉公という道徳律は役立たなくなったとき、新しい権力者の与える別のルールにすばやく自分を適応させる民族性を(日本人は)持っている。人々が徹底抗戦から無血武装解除という展開をなしとげることができた理由の多くはそこに見出すことができよう」 正しい分析だと思う。したがい マッカーサー以外の軍人が最高司令官としてやってきても、やはり占領は成功したかもしれないとの見方もできる。2013/06/08
ヴァン
3
日本がアメリカに占領されていたとは、どういうことなのか。当時の日常が今となっては現代史の一ページとなっている。著者、袖井林二郎はわかりやすく、敗戦後の日本を統治したマッカーサーその人と、占領政策について丹念にたどる。読んでいるうちに当時の日本の雰囲気が見事に再現される。現代史の必携の書籍と言えるだろう。
とばさん
0
法大 法 テキスト2016/05/21
荒川ながれ
0
学生時代に読んだ。この先生の授業の単位を取った。戦後の日本のよりどころにもなったGHQ・アメリカ・マッカーサー。しかし、冷戦で、ねじれてしまった。未だに占領されているような。
Forly Vermilion
0
戦中戦後の日米関係の史料による袖井林二郎のマッカーサーと日本人の関係を分析。著者はこの分野では高名で、かつこの本も有名。著者の主観としての意見も多く書かれているが、数多くひかれた史料と共に書かれているため押しつけがましくなく限られた紙数の中ではわかりやすい。2011年現在に読んだ人間にとってはそれほど目新しい事実はないが、私が知っている事実自体、著者が世に知らしめてきたから知っていることなのだろう。本書がウォーターゲート事件の当時に既に、歴史資料にあたるという観点で上梓されたというのはとても興味深い。2011/01/17