出版社内容情報
〈私〉についてこうして書いている〈私〉という存在とは…。〈私〉と世界との関係を見つめた表題作はじめ、思考のかたちとしての九つの短篇小説。〈解説〉新宮一成
内容説明
“私”についてこうして書いている“私”という存在は、いつか“私”がいなくなったあとにかつていた“私”を想起する何者かによって“私”の考えをなぞるようにして書かれた産物なのかもしれない…。表題作をはじめ、「写真の中の猫」「閉じない円環」など、“私”と世界との関係を真摯に見つめなおした、九つの思考のかたち。
目次
写真の中の猫
そうみえた『秋刀魚の味』
祖母の不信心
十四歳…、四十歳…
あたかも第三者として見るような
閉じない円環
二つの命題
“私”という演算
死という無
著者等紹介
保坂和志[ホサカカズシ]
1956年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。90年、『プレーンソング』でデビュー。93年、『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年、『この人の閾(いき)』(新潮文庫)で芥川賞、97年、『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞と平林たい子賞を受賞
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