内容説明
女帝エカテリーナの孫として生を享け、アポロの再来と謳われた美貌のロシア皇帝アレクサンドル一世―稀代の英雄ナポレオン率いるモスクワ遠征軍を潰走させ、パリ入城を果たした彼は、血塗られた帝冠の重荷ゆえに、晩年、神秘主義に傾倒し、謎めいた死を遂げる。伝説化された皇帝の生涯を辿る壮大な歴史ロマン。
著者等紹介
トロワイヤ,アンリ[トロワイヤ,アンリ][Troyat,Henri]
フランスの作家。モスクワに1911年に生まれたロシア人で、幼時、革命を避けてパリに移住。処女作「ほの明り」でポピュリスト賞、38年にはサルトルの「嘔吐」と争い、「蜘蛛」でゴンクール賞を獲得。代表作「この世の続く限り」「播種と収穫」などの大河小説のほか、伝記的作品多数がある
工藤庸子[クドウヨウコ]
1944(昭和19)年浦和市生まれ。1969(昭和44)年東京大学文学部卒業。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(地域文化研究専攻)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
5
大帝エカテリーナ2世から帝位継承を指示されながら、父パーヴェルが帝位を継承することを望み、固辞。父帝暗殺後は彼を見殺しにした罪を背負いながら継承前に夢見た理想的自由主義路線を捨てて、現実的な君主主義で統治した悩める皇帝。政策がぶれやすいことから意思が弱いと評されることもあるが、冷静沈着で常に理性で物事を判断する理性の人とする方が適切ではないか。宿敵ナポレオンに対しても尊敬を忘れず、一度大喧嘩したメッテルニヒに対しても再評価してヨーロッパの秩序維持のために協力し合うなどプライドより実利をとる実務的な君主。2020/05/30
黎
2
ツワイクには文章の下に情熱を感じるのに、トロワイヤには憂愁を感じる。およそ人が持てる幸運のほとんど全てを持って生まれ、権力を極め、国際社会でも名声を得、それでもアレクサンドルが人生に倦怠を感じざるを得なかったのはなぜか。もてるものの贅沢な悩みは極めると、極北のような孤独と哀切に満ちている。こんな男を作ったエカテリナは本当に怪物。2008/12/31
ゆずこまめ
1
エカテリーナやピョートルのような強烈さはなく、ロシアの広大さに押しつぶされたような人生だった。 ヨーロッパてもアジアでもなく、ロシアなのだと思いつつ読んだ。2020/01/18
sgnfth
1
話はすごく興味深いんだけど、人物皆に腹立って読むのが遅れた2010/01/17
トミーチェ
0
登録漏れを記録