内容説明
故郷・旅順や実姉の「女スパイ」川島芳子の思い出、女子学習院への留学から戦後の北京での生活、そして文革下二十数年の獄中生活・強制労働など、さすらいの王女が自らの劇的な半生をつづる感動的な自伝。
目次
戦争が終わった北京
父の葬式
旅順の思い出
姉・川島芳子の思い出
学習院へ
帰国、終戦までの北京
戦後の混乱から家庭食堂を開くまで
結婚に踏み切る
北京編訳社に入社
逮捕の夜
服役十五年、離婚
農場での生活、そして再婚
北京での新生活
著者等紹介
愛新覚羅顕〓[アイシンカクラケンキ]
1918年、清朝八大親王の一人である粛親王の末娘として、旅順に生れる。中国名は金黙玉。旅順高等女学校、長春高等女学校を経て、女子学習院に留学する。学習院卒業後、40年、日本女子大学英文科に入学。41年、太平洋戦争勃発とともに帰国、戦後は北京で食堂経営などをする。56年、北京編訳社に入り、中・日の翻訳に携わる。反右派運動の嵐が激しくなった58年2月、逮捕・投獄され、以後15年の獄中生活、7年の強制労働を経て、自由の身となる
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感想・レビュー
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せいたろう
12
手記というのは大変読みにくいものであったりするが、また大変面白いものでもある。これは清朝の王女であった愛新覚羅顕琦による手記。川島芳子の妹であった。妹からみた姉は大嘘つきであったそうだ。超お嬢様育ちながら後半生は政治的思惑から15年もの監獄暮らしと7年の強制労働。激動の中国の犠牲者であるが、恨みつらみをことさら述べるわけではなく、気が強いというかたくましいというか生命力がとても旺盛な人。晩年のお写真も朗らかで人生に勝利したという印象をうけた。2021/12/18
yuki@おぐ
10
【図書館】浅田次郎さんの清朝末期~シリーズを読み終わった後に、愛新覚羅顕琦さんの訃報を聞き、この本を知り、さっそく予約。書いてある内容以上に辛い壮年期を過ごされた事は想像に難くないけれど、それ以上の精神力がすごいと思った。もちろん北京に帰るために周恩来や鄧小平に手紙を書いたら、すぐ!なんていうのを読めば、優遇されたのかな?とも思えるが、そこまで生き延びたのだし、生まれは清朝(満州人)の王女でも、中国人として、時代に翻弄されつつも時代に逆らわず、その国で生きて行くという心の強さ!感銘した。2014/09/01
及川まゆみ
3
姉の川島芳子の項のみ読了。2021/07/14
たす
3
清朝の王族として生まれ、日本時代、戦後中国の混乱期、そして共産党政権下の中国での長年に渡る獄中生活という、激動の歴史を生きた一人の女性の手記。想像を絶するような経験をしているのに、文面からは悲壮感は伝わってこず、どんな環境でも明るく自分を見失わずに生きた彼女の強さであふれていた。このような書物が日本語で記されたことに、生の歴史を感じる。2020/06/22
和泉花
3
世が世なら何不自由なく暮らせたはずのお姫様なのに、時代の動乱がそれを許さない。強く賢く、尊敬できる女性だと思いました。日本文で書かれていますが、すごい深刻な内容の時でも明るくユーモアを忘れない文章で本当にすごい。2019/09/24
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