内容説明
乱世の厳しさが「信心」を決定させた中世の社会的背景を捉えつつ、体験的に仏教を追求し、新しく法灯を掲げた、親鸞の叙情的人間性と愛欲の葛藤、道元の深い論理の思索、日蓮の苛酷な受難の生涯にみる自己形成への奮闘と彼らの信仰の諸相を比較検討する。
目次
1 日本仏教の夜明け(古代仏教の終焉;末法悪世に生きて ほか)
2 信仰の証を求めて(自力と他力と共力;念仏の救いについて ほか)
3 さとりと愛欲の相剋(人生の恩愛をめぐって;業から自由へ ほか)
4 法灯のゆくえ(浄土教の夢と現実;本願寺教団の末路 ほか)
著者等紹介
戸頃重基[トコロシゲモト]
1911(明治44)年、東京に生まれる。1935(昭和10)年、立正大学文学部宗教学科卒。1939(昭和14)年、同大学院修了。1944(昭和19)年、東北大学法学部哲学科修了。金沢大学教授。文学博士。専攻、日本思想史、倫理学。1977(昭和52)年3月逝去
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感想・レビュー
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三上 直樹
4
50年近く前に書かれた鎌倉仏教論。親鸞・道元・日蓮の違いを生硬な文章でまとめてあり、あの家永三郎先生の勧めで執筆したというあたりに時代を感じます。 Kindleにはなく紀伊國屋Kinoppyにあるのも、古書を大事にしてくれる姿勢を感じられてうれしいです。2015/08/04
aki
0
良作ではあるが、仏教学者らしからぬ下部構造重視の解釈に違和感をおぼえるね。たとえば「法然と親鸞は他力の信仰を求めて生き、道元と日蓮は自力の修行に打ち込んだ。法然と親鸞は、この世の価値を究極的に否定し、道元と日蓮は、あの世の実在を否定した」(58頁)。どうして、この違いが生じたか。戸頃は「重大な理由は、法然、親鸞が乱世に際会し、道元、日蓮が鎌倉政権安定後に活躍した、という歴史的背景の差異に求められる」(同頁)としているが、いや、それは法然、親鸞が浄土3部経、日蓮が法華経という、依処とした経典の違いでしょ。2015/09/13
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