内容説明
太古の呪術や生活の姿を伝える、漢字の世界。厖大な資料考証によって、文字の原始の姿を確かめ、原義を鮮やかに浮かび上がらせる。「白川静の世界」入門に絶好の、刺激的な書。
目次
1 記号の体系
2 象徴の方法
3 古代の宗教
4 霊の行方
5 字形学の問題
6 字音と字義
7 漢字の歩み
8 文字と思惟
9 国字としての漢字
10 漢字の問題
著者等紹介
白川静[シラカワシズカ]
1910(明治43)年福井県生まれ。立命館大学名誉教授、文字文化研究所所長。1943年立命館大学法文学部卒。1984年から1996年にかけて「字統」「字訓」「字通」の字書三部作を完成させる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
22
白川静の漢字の語源について百のトピックということなんだが、それぞれの漢字について書かれてあるのは、正直一度に読むのは飽きてくる。週一とかのコラム的内容だと思うのだが、それとは別に漢字についてのトピックで『万葉集』の山上憶良の万葉仮名はそれまでの万葉集とは違っているので帰化人説があるのだが、それは憶良の表現の文学実験だったという話が面白かった。つまりそれまでは貴族のための表意文字として万葉仮名なんだが「貧窮問答歌」は憶良が独自に愛着のある漢字を使ったという。2024/12/20
Tomoichi
21
白川静の学会での評価は知らないが、彼以上に漢字の語源に迫った学者はいるのだろうか?「文字は呪能をもつ」我々は漢字について何も知らず、知らない文字をその意味も理解でずキラキラネームに使う。もう誰も旧漢字を知らない。改悪された文字にもう呪能はないのかもしれない。2023/11/25
shouyi.
8
漢字学なら白川静の右に出るものはない。いろいろ資料を集め、しっかりと自説をたてる。中国の学者の追随も許さない。読む前までは宗教的世界にひかれすぎではないか、などと思っていたがまったくそんなことはなかった。2020/01/11
roughfractus02
6
文化的土壌は異なるが、日中の国字政策は漢字の簡略化傾向において共通する。中国では音素を重視して字形を略し、日本では旧字を排して新字を作る。著者が漢字の字形的意味を強調するのは、文字すら人間中心の世界に組み替えられた世界で、字形に含まれた無文字時代の自然と人間の関係に注目するからだ。「声符」としての音素を重視する音声中心主義には、「意符」としての形体素を単なる記号と見なす人間中心主義的な世界観が前提にある。「意符」の「意」を自然=神の音ずれを推し測ること、と記す本書は、読者を生態学的世界観へとシフトさせる。2020/12/24
やす
3
とにかく、凄いと思う。 5千年前の表象を昨日のことのように確信を持って描き出せることに脱帽2010/04/07
-
- 和書
- MATSUMOTO