内容説明
世界で初めて原爆を完成させ、全米の国民的英雄となった天才物理学者は、なぜ水爆開発に反対したのか。科学と社会、科学と人間の関係はどうあるべきなのか。根源的な問いにオッペンハイマーが全存在をかけて答える。
目次
原子力時代と科学者
核爆発
今日の問題としての原子力
とらわれぬ心
原子兵器とアメリカの政策
科学と現代
著者等紹介
オッペンハイマー,ロバート[オッペンハイマー,ロバート][Oppenheimer,Robert]
1904‐1967。アメリカの理論物理学者。ハーバード、ケンブリッジ大学等に学び、カリフォルニア工科大学等の教授に就任、多数の研究者を育成した。第二次大戦中はロス・アラモス研究所所長として原爆を世界で初めて完成し、「原爆の父」と呼ばれる。戦後、原子力委員会の中心メンバーとなるが、アメリカの水爆開発に反対の立場をとったため、国家への忠誠を問われ、公職から追放された。のち政府はフェルミ賞を贈呈し、この措置を事実上撤回した
美作太郎[ミマサカタロウ]
1903‐89。熊本に生まれる。東京大学法学部卒業。日本評論社編集局長を経て、新評論社長、会長
矢島敬二[ヤジマケイジ]
1930年東京に生まれる。東京都立大学理学研究科修士課程修了。日本科学技術研修所などを経て、東京理科大学経営学部教授。工学博士
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感想・レビュー
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roughfractus02
9
科学が技術の力に依存する度合いは20世紀に頂点に達する。技術開発の進展と数学言語の最大活用は物理学を身体のくびきから解放した。技術の進展を国家が主導し、武器開発に特化に向かう2つの大戦の中、ブラックホールの研究者だった著者は、マンハッタン計画のプロジェクトリーダーになる。彼の下で科学の成果として戦争自体を終わらせるために開発された原爆は、大戦後の政治において次の戦争に向けた通常兵器と同様に扱われる。市民として著者が水爆開発に反対したのは、爆発の連鎖反応が全世界に及ぶことへの懸念があったからだとも言われる。2022/02/27
ymazda1
2
科学者としてではなく、プロジェクトのリーダーとしてのオッペンハイマーしか、この本の中にはいないということが、何よりも驚きだった・・・現代において、最先端の技術をもって世界を席捲するような新進の企業が日本に生まれないってことの根っこみたいなものを、どうしても、感じてしまった。。。
ソメ
1
彼の苦悩はあんまり伝わってこなかった。核の国際協力とは言いつつも、結局はアメリカが核開発をリードしなければいけないというよくわからない矛盾、、、そしてなにより、翻訳読みにくすぎです。すみません。新しい版で翻訳しなおしてほしい、、、、2017/09/16