中公文庫<br> 黒い文学館

中公文庫
黒い文学館

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  • サイズ 文庫判/ページ数 241p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122039643
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1195

内容説明

文学の領域において公には禁じられていた悪徳とエロスという題材を大胆にとりあげ、久しく禁書の憂き目にあったレチフ、サド。そしてセリーヌ、バタイユ、ジュネ、マンディアルグ、三島由紀夫など、著者偏愛の作家論と、ベルメールなどの絵画論、蔵書論をあつめた評論集。異端文学への秘めやかな誘い。

目次

1 黒い文学館
2 新と旧
3 人と作品
4 光と影
5 書物のある日々

著者等紹介

生田耕作[イクタコウサク]
1924年京都祇園に生まれる。父は料亭の板前長で南座を遊び場に育つ。軍国色の強まるなか、荷風、その後セリーヌを耽読。京都大学文学部仏文科在学中にブルトンの思想に啓示を受け、以降、批評精神の欠如した日本の文化状況を見極め、ジャーナリズムに背を向け、戦闘的論客としての姿勢を保ち続ける。京都大学教授として大学で教鞭をとる傍らバタイユ、マンディアルグ、セリーヌなどの紹介につとめ、編著書のわいせつか否かをめぐって大学とも決別、自ら出版社を設立して孤高の立場を貫く。1994年没
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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シガー&シュガー

10
「芸術」の実践者、生田耕作の評論集。ひとつひとつが短いので読みやすく、セリーヌやマンディアルグの作品の見方が変わりました。少し物足りなさも感じますが、つまりそれほどに生田氏による(異端)文学の解説が面白く、バイロス画集にまつわる裁判のイメージから「難解な事を言う奇人」と思い込んでいた不明を恥じております。ただ、常々生田氏と自分との「美」の基準にズレを感じていたところが、生田氏発案の「春の水」という絵画のアイデアに至って(ユーモアが混じったものではあるのですが)「やっぱり合わないわー」と思った次第です。2015/12/01

のうみそしる

3
自分が全然知らない文学者への足がかりとなった評論&随筆集。芸術とは何か?文学作品と娯楽小説の違いは?その答えは「恍惚」。腑に落ちる言葉の数々。破廉恥三人組は要チェック。マンディアルグが三島ファンだったとは知らなかった。2017/06/10

uburoi

2
黒い美術館にちなんだだけにマンディアルグに大分のページ数が割かれている。そもそもの生田先生があやつる文章がセンテンスの長い節の多い特徴のある翻訳体で、これ自体マンディアルグの文体から編み出されたのではと思えるのである。どこかしら風貌も似ているように思う。ここにはマンディアルグ追悼文も納められているが、生田先生もいまや亡き人である。澁澤亡く、種村が逝き、生田先生もいない日本でひとり気を吐くのは、文学賞もらって怒声を張り上げる蓮實さんぐらいか。2016/06/08

はちくま

2
この本の中で、「ブルトンから得たところは(中略)敵をつくる生き方を教わったことも大きな収穫の一つである。」と書かれていて、さもありなん、と思った。2014/04/26

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