出版社内容情報
大真面目にして少し珍妙。ホッと浮世の人情髪結床。『浮世風呂』に続く式亭三馬の滑稽本。庶民の社交場を舞台に江戸下町の雰囲気を写し取る。
内容説明
ここは大江戸日本橋。浮世風呂に隣り合う髪結床では、今日も無駄話に花が咲く―。庶民の社交場・髪結床で交わされる市井の人びとのとりとめもないお喋りを忠実に書き留めた式亭三馬の滑稽本。江戸下町の雰囲気と庶民の日常生活を古谷三敏が丹念に写し取る。平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。
著者等紹介
古谷三敏[フルヤミツトシ]
1936年、中国東北(旧満州)奉天に生まれる。終戦とともに帰国。1952年、茨城・息栖中学校を卒業し、大阪の洋服屋に勤める。55年、単行本『みかんの花咲く丘』でデビュー。手塚治虫のアシスタントを経て、64年、フジオプロに入社。赤塚不二夫のアシスタントをしながら、少女誌に自分の作品を発表する。70年、少年誌に進出して『ダメおやじ』の連載を開始、理想の父親像を裏返したキャラクターを生み出し一躍脚光をあびる。75年、ファミリー企画を設立して独立。79年『ダメおやじ』により第二十四回小学館漫画賞を受賞する
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感想・レビュー
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aisu
11
浮世床は「江戸時代、庶民の社交場・髪結床で交わされる市井の人々の取り止めもないお喋りを忠実に書き留めた式亭三馬の滑稽本」。古谷三敏も後書きで「ストーリーがなく、登場人物はつまらない話を長々と喋っている。その話は現代人が読んで興味の湧く話でもない…」と書いている、私の感想もまさにそう。たまに当時の様子がわかってへえ〜っと思ったり、当時の人々はこういう事に関心があったのかと思ったりしたが…。2024/01/04
新田新一
9
式亭三馬の『浮世床』を漫画家の古谷三敏が漫画化したもの。江戸時代の床屋を舞台にした一般庶民の生活が生き生きと描かれています。古谷三敏のユーモラスな絵が、原作の滑稽な雰囲気によく合っていると思いました。特に面白いと思ったのは、後半に出てくる寄せ口。死んだ人の言葉を取り次ぐことを職業にする人がいたそうです。どんな時代であっても、生きている人は死んだ人のことをいろいろと思うことがあるのかもしれません。2023/09/04
Aby
7
「市井の人びとのとりとめもないお喋りを忠実に書き留め」ているので,当時の人たちの様子をうかがい知ることはできるが,現代人がリアルに感じるかどうかは別.途中で読むのが辛くなった.2023/09/21
ふろんた2.0
3
★★2015/02/05
greenman
2
なんでもない日常の中にある様々な出来事が光って見えてくる。ふとそんな気になることが人生にはままあります。本書浮世床は式亭三馬による江戸滑稽本で、1813・14年ごろの江戸の雰囲気をいっぱい吸った日常にお笑いをたっぷりつめた本になっている。なるほど、人間とはそんなものだよなぁとか、昔気質の人情とか、江戸時代の盛りを過ぎた文化と口語が楽しく読める上、床屋がこの頃の社交場になっている様子がイギリスにおけるコーヒーハウスの時代と重なってみえた。2013/01/17