出版社内容情報
世界が私たちに恋をした――。別に一緒に暮らさなくても、二人がいるところはどこでも家だ……互いでしか癒せない孤独を抱え旅立つ恋人たちの物語。
内容説明
世界が私たちに恋をした―。別に一緒に暮らさなくても、二人がたどる道はいつも家路で、二人がいる所はどこでも家だ…。互いでしか癒せない孤独を抱え、剥き出しの世界へと歩き始めた恋人たちの旅立ちを描く。限りない清らかさと生きることの痛みに彩られた静謐な愛の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
298
奇妙な関係性の物語。語り手のまなかと裕志もそうだが、まなかと今はブリスベンに暮らす実の母、まなかと継母のそれぞれは、違和感はないものの、やはり特殊な関係性にある。物語そのものの内容はけっしてそうではないのだけれど、全体には一貫して孤独感と寂寥感が覆う。また、夢と現実とが等価なほどに語られ、そこには非在感さえもが漂うのである。あるいは透明感こそがこの作品の本質なのかもしれない。特にエンディングの空気感は鮮やかだ。なお、MAYA MAXXの挿画は小学生のような具象と、プロの抽象とが混在したような味わい。2012/10/08
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
182
人がひとり死んでも、世界は何ごともなかったようにまわるけれど。当たり前にいた人が、もう息をしていない、毎日繰り返していたあの姿をもう見ることがないんだ、ということは、周囲の人を何かしら絶対的に変えてしまう。上手く言えない、誰かとも共有もできない、肌で感じるような理を、静かな生活を淡々と描くことで伝えてくる。「取り返しのつかないことをしないように。/取り返しがつかないことがいくらあっても、生きていくしかないということだけを、人は言うことができる」「世界は私がどうなろうとなんとも思っていないけれど、→2019/01/23
おしゃべりメガネ
150
私には珍しく、ちょっと合わないばななさん作品でした。隣に住む幼馴染みの男女が自然と惹かれ合い、普通に結ばれるのが基本ストーリーでそこは問題なかったのですが、男女それぞれにまつわるエピソードが正直なんとも話に入り込めず、あまりの非現実さにちょっとシラケモードで結局はそのまま読了です。いくら小さな頃から一緒に過ごしている幼馴染みだからといって、そんなに何もかもが二人の思い描くように展開していくかなぁと。いつもは何かしらココロの琴線にふれるばななワールドですが、今作に限っては残念ながらスルーしてしまいました。2016/09/23
HIRO1970
96
⭐️⭐️⭐️⭐️本年4冊目。ばななさんは通算12冊目。吉本(漢字)さんの頃の作品。題名から想像する明るい内容では無いのですが、悪くは無いお話だと思いました。小さな変化を見逃さない感じや共感、時間空間の共有、誰もが持つ壊れやすい部分が痛んだり、心を閉ざしかけた時に無理にこじ開けずに、そっとしておく感じが何とも柔らかくてしっくりきました。こころの刺々しい何かが気がつくとフッと消えているような、柔らかな陽射しに見守られているような感じの暖かいお話でした。2020/01/28
ミカママ
72
いや、嫌いじゃない、どちらかと言うと大好きな空気感なんだけど、ここ数日たて続けに読んだばなな作品、正直ごっちゃになってます。社会的にちょっと生きづらそうな男女の恋愛物語。頭を使わずとも、物語に入り込める展開は大歓迎。主人公たちの肩をたたいて、いろいろあるよね、と言ってあげたい。2014/02/19
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